レースレポート
5年目を迎えた富士24時間レースでENDLESS勢が躍進!
自社ブレーキシステム採用の「ENDLESS AMG GT4」がST-Qクラスを制覇
ST-1クラスでKTMが優勝。ENDLESS勢が4クラス制覇を達成!
■概要/Outline
2022年のスーパー耐久シリーズ第2戦「富士スーパーテック24時間レース」が6月2日~5日、静岡県の富士スピードウェイを舞台に開催。今年で5度目の開催となる過酷な24時間レースで、ENDLESS勢が素晴らしい走りを披露していた。

なかでも、抜群のポテンシャルを見せたのが、ENDLESSのワークスチーム、ENDLESS SPORTSの3号車「ENDLESS AMG GT4」で、今季は自社製のブレーキシステムを採用してST-Qクラスに参戦。キャリパー、ローター、パッドともに無交換で走破し、総合6位に食い込んだほか、ST-Qクラスで勝利を獲得した。

残念ながらST-2クラスに参戦したENDLESS SPORTSの13号車「ENDLESS GRヤリス」はマシントラブルにより2位に惜敗したが、KTMS KOBETOYOPET MOTOR SPORTの225号車「KTMS GR YARIS」が同クラスを制したほか、TOWAINTEC Racingの59号車「DAMD MOTUL ED WRX STI」が3位につけたことで、ENDLESS勢が表彰台を独占。

さらにST-1クラスではKsフロンティアKTMカーズの2号車「シンティアム アップルKTM」が総合4位につける快走でクラス優勝を獲得したほか、ST-3クラスでは埼玉トヨペットGreen Braveの52号車「埼玉トヨペットGBクラウンRS」が同クラスを制するなどENDLESSのサポートチームが猛威を発揮。合計4クラスで勝利を飾ったほか、ST-Xクラス、ST-TCRクラス、ST-4クラス、ST-5クラスでもENDLESSユーザーが躍進するなど過酷な24時間レースで抜群のパフォーマンスを披露していた。
■富士スーパーテック24時間レースの特徴/About Fuji SUPER TEC24 Hours Race
2008年の十勝24時間レースを最後に開催が見合わせされていた国内24時間レースが2018年に復活。富士スピードウェイを舞台にした「富士スーパーテック24時間レース」として国内では10年ぶり、富士スピードウェイとしては50年ぶりに24時間レースが開催された。

同イベントはスーパー耐久の一戦に組み込まれ、通常ラウンドよりも多くのポイントが配点されることから、数多くのチームがレギュラードライバーのほか、国内外のトップレースで活躍するプラチナドライバーやエキスパートドライバーを起用。マシンに関してもナイトセッションに合わせて補助ランプを採用するほか、長距離レースに備えてブレーキアイテムの強化や冷却システムの向上を図るなどソフト、ハードともに特別な一戦となっている。

開催5年目となる2022年は新型コロナウイルスの影響でパドックエリアへのアクセスが制限されたものの、それでも観客動員が行われ、コースサイドでのキャンプおよびバーベキューも健在。まさにレースファンにとって富士24時間はスペシャルなイベントで、ル・マン24時間レースやニュルブルクリンク24時間レースのように年に一度の祭典として定着している。

■レースレポート/Race Report
国内24時間レースとして2018年に復活を果たした「富士スーパーテック24時間レース」が6月2日~5日、国内屈指のハイスピードコースである富士スピードウェイを舞台に開催。今年で5回目の開催となる同大会は新型コロナウィルスの影響により、海外から遠征するチームが参戦を見合わせたものの、それでも9クラスに計56台が集結した。

なかでも注目を集めたのは「STOが参加を認めたメーカー開発車両または各クラスに該当しない車両」を対象とするST-Qクラスで、ORC ROOKIE Racingが水素エンジン搭載モデルとして32号車「ORC ROOKIE Corolla H2 Concept」を投入したほか、同じくORC ROOKIE Racingがカーボンニュートラル燃料を使用した28号車「ORC ROOKIE GR86 CNF Concept」を投入。さらにNISMOが230号車としてカーボンニュートラル燃料を使用した新型Zのレーシングモデル「Nissan Z Racing Concept」、スバルを中心とするTeam SDA Engineeringが61号車としてカーボンニュートラル燃料を使用した「Team SDA Engineering BRZ CNF Concept」、マツダを中心とするMAZDA SPIRIT RACINGが55号車としてバイオディーゼル燃料を使用した「MAZDA SPIRIT RACING MAZDA2 Bio concept」を投入するなど、近未来の開発車両が集結していたが、このST-QクラスにENDLESSのワークスチーム、ENDLESS SPORTSもメルセデスAMG GT4の3号車「ENDLESS AMG GT4」を投入していた。

長年に渡ってスーパー耐久シリーズに参戦するENDLESS SPORTSは、これまで3号車のENDLESS AMG GT4でST-Zクラスに参戦。富士24時間レースにおいてもクラス3連覇を果たしてきたのだが、今年は製品開発を目的にENDLESS AMG GT4に自社のブレーキシステム、サスペンションを装着しST-Qクラスに参戦していた。そのパフォーマンスは高く、ENDLESS AMG GT4はコンスタントな走りを披露したほか、キャリパー、ローター、パッドともに無交換で過酷な24時間レースを走破。その結果、3号車のENDLESS AMG GT4は721周でチェッカーを受け、総合6位で完走するとともに、ST-Qクラスで勝利を獲得した。

一方、ENDLESS SPORTSはST-2クラスにもワークスマシンとして13号車「ENDLESS GRヤリス」を投入。同マシンもENDLESSのブレーキシステム、サスペンションを武器に安定した走りを披露していた。序盤でトップに浮上すると、その後もレースを支配していたが、13号車のENDLESS GRヤリスはスタートから17時間後にマシントラブルが発生し、緊急のピットイン。その修復にタイムロスを強いられたことで、13号車のENDLESS GRヤリスは2位に惜敗することになった。

とはいえ、同じくENDLESSのブレーキシステムを採用するKTMS KOBETOYOPET MOTOR SPORTの225号車「KTMS GR YARIS」が同クラスを制したほか、TOWAINTEC Racingの59号車「DAMD MOTUL ED WRX STI」が3位に入賞。ENDLESS勢がST-2クラスで表彰台を獲得したことは、2022年の富士24時間を語る時に欠かせないトピックスと言える。 さらにST-1クラスに目を向けるとKsフロンティアKTMカーズが投入したKTM GT-X、2号車の「シンティアム アップルKTM」が素晴らしい走りを披露。ピット作業違反によりペナルティストップが科せられるシーンがあったものの、ENDLESSのブレーキパッドを装着した2号車のシンティアム アップルKTMは終始レースを支配し、総合4位で、ST-1クラスを制した。

またST-3クラスでもENDLESSユーザーが活躍しており、埼玉トヨペットGreen Braveの52号車「埼玉トヨペットGBクラウンRS」が安定した走りを披露している。ENDLESSのブレーキシステムを採用した埼玉トヨペットGBクラウンRSは、レース中盤でトップ争いを抜け出し、ST-3クラスで勝利を獲得した。

このように2022年の富士24時間レースで4クラスを制するなど、ENDLESS勢は素晴らしい飛躍を見せているが、そのほかのクラスでも目を見張るパフォーマンスを見せていた。

例えば最高峰のST-Xクラスに目を向けるとMP Racingの9号車「MP Racing GT-R」とaprの31号車「DENSO LEXUS RC F GT3」が好タイムを連発。残念ながら31号車のDENSO LEXUS RC F GT3が4位、9号車のMP Racing GT-Rが5位で表彰台には届かなかったが、GT-3モデルならではの迫力ある走りに多くのファンが魅了されたに違いない。

そのほか、ST-TCRクラスでもM&Kホンダカーズ桶川Racingの97号車「Racer HFDP CIVIC」が2位で完走したほか、ST-4クラスでは浅野レーシンサービスの18号車「Weds Sport GR86」が4位、ST-5クラスでは村上モータースの88号車「村上モータースMAZDAロードスター」が4位で完走。

今大会もFCYが11回、SCが3回に渡って導入されるなど、例年どおり、サバイバル戦が展開されたものの、ENDLESS勢は各クラスで抜群のパフォーマンスを披露することで、ブレーキアイテムのクオリティを証明した。