レースレポート
スーパー耐久シリーズ 2022 第3戦 スポーツランドSUGO 3号車
[予選/7月9日(土)] 3号車
Aドライバー/小河 諒 …… PM 12:50〜 15分間 ドライ/ウェット
Bドライバー/川端 伸太朗…… PM 13:50〜 15分間 ドライ/ウェット
Cドライバー/谷岡 力 …… PM 14:30〜 15分間 ドライ/ウェット
第3戦の舞台はスポーツランドSUGO。6月の終盤から日本各地で35℃を超え、先週には台風が上陸。すぐに熱帯性低気圧になったものの、依然として太平洋上には大きな渦上の雲が停滞。
予選が行われた土曜日は、突然の雨によって大荒れの予選となった。
突然の雨と言うと、夕立のような雨をイメージしがちだが、この日の雨はしっとり霧雨。となれば、路面が完全に濡れるまでにタイムを出したいところだが、瞬く間に路面を濡らしてしまい、ドライ路面用のスリックタイヤではお手上げ状態。当然、ウェット用タイヤでのアタックとなるのだが、思ったほど路面は濡れてなく、パワーのあるマシンほどタイヤはすぐに終わってしまうという状況だった。
Aドライバーの小河は、コースオープンとほぼ同時にコースに出てタイヤを温める。まだ、この時点では雨は降っていなかったが、「すぐにアタックしないと雨が降ってくるなぁ」と判断した小河は2ラップ目にアタックし1分28秒台をマーク。そのまま3ラップ目もアタックに入ろうとしていたが「すでに1~3コーナーはウェットになりかけていて、タイムは伸ばせない、決勝のスタート用タイヤも温存しておきたい」と瞬時に判断し、アタックを終了した。一方このセクションでは事実上のライバルとなるST-ZやST-1 クラスのマシンもアタックしていたが、アタックするタイミングがわずかに遅れたためにタイムを伸ばすことができなかった。さらにドライ路面で6秒以上速いST-Xクラスのアタック時には、路面は完全にウェット状態。小河のタイムより5秒近くの後れを取る結果となった。
その後ST-XクラスのAドライバーによる予選が終わるころには雨は上がり、その後に行われたGr-2(ST-3、4、5クラス)のBドライバーの予選により路面は一気に回復。川端がアタックするBドライバーの予選は、ほぼドライ路面での中で行われた。川端は非凡な走りで1分27秒085をマーク。他クラスのマシンも川端のタイムには及ばず、この時点で予選トップとなった。
この後にアタックが始まるST-Xクラスのマシンに抜かれると思いきや、再び、霧雨が……。Aドライバーの予選と同様にウェット路面となったことにより、ST-Xクラスのマシンはタイムを伸ばせず。3号車はGr-1の予選トップタイムとなり、明日の決勝レースのポールポジションを獲得した。
しかし、Cドライバーの予選でまさかの事態が起きてしまった。再び、ドライ路面に回復していたCドライバーによる予選。谷岡はライバルのフェアレディZのタイムにこそ届かなかったが、安定したアタックで基準タイムをクリア。再び、霧雨状の雨が落ちだしたので早めにピットに戻ろうとした際、ピット入り口のホワイトラインをカットしてしまった。ペナルティは予選順位から2グリッド降格という内容だった。
裁定にがっくりと肩を落とし、言葉が出ない谷岡。チームとしては谷岡に思いっきりレースを楽しんでもらいたい。しかしそのためにはコース上でのルールを遵守してもらう必要がある。予選終了後に監督、ドライバー3人でミーティングを行った。今回は谷岡だったが、小河や川端にもこういったミスが出ないとはいえないし、監督やメカニックもミスをすることもある。今回のようなミスを防ぐことの重要性をチームとして再認識するとともに、日曜日の決勝レースへ照準を合わせた。
[決勝/7月10日(日)] 3号車
スタート 13時58分00秒 チェッカー 16時59分08秒
FCY導入
1回目 14時56分06秒〜15時03分01秒
2回目 15時48分05秒〜15時51分52秒
決勝レースが行われた日曜日。この日は前日の不安定な天候とは打って変わって、決勝日は朝から強い日差しが路面を照り付けた。ピットガレージ内の温度は31℃、路面温度は50℃を超える中でGr-1の決勝レースは始まった。
グリッド最前列はST-ZクラスのAMGとスープラ。小河がステアリングを握る3号車AMGは、2列目のイン側からスタート。最終コーナーからゆっくりと駆け上がってきた集団は、シグナルがグリーンに変わった瞬間にフル加速。最高のスタートを切ったのは小河だった。牽制しあって1コーナーに向かう最前列の2台。そのイン側にラインを選んだ小河はトップで1コーナーに飛び込んでいく。オープニングラップをトップで戻ってきた小河。さすがに2ラップ目には、ST-Xのマシンが追い抜いていき、4ラップ目には6番手にまでポジションは落ちるが、安定した走りでラップを重ねていく。
46ラップ目、1回目のピットストップ。給油、タイヤ交換など一連の作業を終わらせ、ステアリングを握る谷岡をコースに送り出す。総合の11番手までポジションは落としているが、49ラップ目にはベストとなる1分28秒890を叩き出して、50ラップ目には10番手、65ラップ目に9番手、69ラップ目には8番手と確実にポジションを上げていった。
総合の7番手にまでポジションを上げてきた93ラップ目、第3スティントを担当した川端から再び小河にスイッチ。路面温度が下がり、タンクに残るガソリン量も減ってきたことからタイムを上げていた99ラップ目、3号車にまさかの事態が起きた。「リヤからジャダーが出ているからピットインする」と小河から無線が飛び込んでくる。コース上にある異物を踏んだスローパンクチャーと推測して、メカニックはタイヤを用意して待ち受ける。しかし実際のトラブルは、リヤ左側スタッドボルトの折損。ピット内に入れて15分ほどで交換してコースに送り出すことはできたが、ポジションを大きく下げてしまう。
最終的にチェッカーは受けることはできたが、総合順位で下位に沈むこととなった。しかし、今回のレースでは予選トップタイムを記録するなど印象に残るラウンドとなった。また、トラブル発生時に小河が早めにピットに滑り込まなかった場合、タイヤの脱落や場合によってはクラッシュにつながっていたかもしれない。ドライバーの鋭い感覚によって最悪の事態を免れたことは、間近に次のレースを迎えるチームにとっては不幸中の幸いであった。
その次のレースは3週間後のオートポリス。AMGはトラブルの原因を特定したうえで更なる速さを、そしてST-2クラスのヤリスは初優勝を目指して九州に乗り込む。