レースレポート
スーパー耐久シリーズ 2022 第2戦 富士スピードウェイ 3号車
[予選/6月3日(金)] 3号車
Aドライバー/小河 諒………… PM 12:15〜 15分間 ドライ
Bドライバー/菅波 冬悟……… PM 13:10〜 15分間 ドライ
Cドライバー/川端 伸太朗…… PM 14:00〜 15分間 ウェット (赤旗中断あり)
Dドライバー/谷岡 力………… PM 15:20〜 15分間 ウェット

今シーズンは第2戦に組まれた富士24時間レース。開幕戦の鈴鹿に引き続き、開発車両が中心となるST—Qクラスでの参戦だが、新型フェアレディZが参戦するなどファンにとっては注目のクラスとなった。

3号車AMGは鈴鹿で戦った小河 諒/菅波 冬悟/川端 伸太朗の3選手に加え、Dドライバーとして谷岡 力を迎え入れた。谷岡はST−XやZクラスのステアリングこそ握っていないが、2020シーズンはST−5クラス、2021シーズンはST−TCRクラスで24時間レースに参戦。速さだけでは戦えない24時間レースを経験しているだけに強い助っ人となった。もちろん5月の公開練習にも参加しており、マシンのフィーリングを掴んだ状態での参戦となる。

マシンは前戦鈴鹿と同様に、ENDLESSのブレーキパーツやサスペンションキット、エンケイホイールなどで強化したAMGだ。特に今回の24時間レースでは、レースと変わらないペースで走りつつブレーキパッドとブレーキローターを無交換で走り切るという目標を設定。24時間レースという極限の環境でどれだけENDLESSのパーツが性能を発揮できるか試される。

開発車両がエントリーするST−Qクラスとはいえ、予選から通常のレースを想定してのアタック。決勝のスタート時に使用するタイヤは、予選でA&Bドライバーのいずれかが使用したタイヤでなければいけない。今回はAドライバーの小河が使ったタイヤを決勝で使うことにしたため、小河のアタックは1ラップのみ。限られた中でしっかりとタイムを叩きださなければいけないが、小河はしっかりと1分47秒台をマーク。Bドライバーの菅波も最初のアタックで47秒台をマークしてピットイン。タイヤの温存だけでなく、マシンの負担を最小限に抑えることにも成功した。

続いて予選タイムが決勝グリッドに影響しないCドライバーの川端、Dドライバーの谷岡もマシンのチェックも兼ねてアタックすることに。しかし菅波のアタックが終わった頃から、1コーナー上空に厚い雲がおおい、Cドライバーの予選が始まる寸前にはポツリポツリと雨粒が落ち出す。各チームが一斉にコースインするが、数分後には数メートル先も見えないほどの大粒の雨に……。赤旗が振られセッション中断となった。

約40分の中断後、残り時間10分間でセッションが再開。明日の決勝でも、この夕立のような雨は十分に予想されるため、川端、谷岡ともにウエットタイヤのチェックも行いながらのアタックとなった。 最終的に3号車は、ST−XクラスとST−1クラスのマシンに続く、総合8番手のグリッドを獲得。決勝レースではさらに上位の順位でのフィニッシュを目指す。
[決勝/6月4日(土)〜5日(日)] 3号車 クラス優勝
スタート 6月4日 14時59分39秒 チェッカー 6月5日 15時02分47秒452
路面コンディション ドライ


6月4日土曜日の午後3時前、24時間先のゴールを目指してスタートが切られた。スタート直後は24時間レースといえど順位争いが激しく、接触などアクシデントが起こりやすいポイントである。3号車自身はライバルが不在といえども、前方での他クラスのアクシデントに巻き込まれる可能性があるため、慎重にレースを進めていく。

SC、FCYが導入されないままレースはスタートから6時間が経過。日が沈んだ19時30分過ぎに最初のSCが導入されると、他の車両のトラブルやアクシデントが発生し始める。そんな中でも3号車はノートラブルで走行。幸い今年は悪天候にならなかったこともあり、プロドライバー3人が順調に周回を重ねていった。

翌日曜日、スタートから15時間が過ぎた12回目のピットストップ。実は24時間レースには、特別ルール「スタートから20時間以内に10分以上のピットストップを行わなければならない」という義務があり、この時点でまだ消化していなかった。多くのチームがこのピットストップ時にブレーキローター・パッドを交換するが、3号車が目指すは無交換での完走だ。この長時間のピットストップ時に交換すべきかどうか、チームスタッフがチェックを実施。ドライバーからのフィードバックもあり、ローター&パッドともに問題なしと判断。そのままゴールまで走り切ることとなった。

3号車は終盤に入ってからもブレーキをはじめとした車両側のトラブルは発生せず、順調に周回を重ねた。最終的にST-Xクラス、ST-1クラスの車両に続き総合6番手でチェッカーを受けることが出来た。上位クラスにアクシデントが続いた昨年の総合3位には届かなかったものの、ブレーキをはじめノートラブルで安定した走りを見せることが出来た。

今回のブレーキローター・パッド無交換という目標は、もちろんドライバー陣の走り方や車両のセッティングなどチーム全体での貢献が無ければ達成出来なかった。しかし何よりブレーキメーカーENDLESSとしての日々の研究・開発によって生まれたブレーキシステムがあってこそだと言えよう。

レースは7月上旬の菅生、そして下旬のオートポリスと過酷な夏の耐久レースへ続いていく。富士で収集したデータからさらなる改良を進めていく。

スタート 6月4日(土) 14時59分39秒(残り:24時間)
スタートポジション 1位 ドライバー 小河 諒

16:28 (残り: 22時間32分)  48LAP 1位
PIT STOP 01 回目 ドライバー交代 小河→谷岡 力 F&Rタイヤ交換/給油

18:00 (残り: 21時間) 95LAP 1位
PIT STOP 02 回目 ドライバー交代 谷岡→菅波冬悟 Fタイヤ交換/給油

19:28〜19:34 FCY(SC導入に移行)
19:34〜19:49 SC

19:35 (残り: 19時間25分) 143LAP 1位
PIT STOP 03 回目(SC導入中)ドライバー交代 菅波→川端伸太朗 F&Rタイヤ交換/給油

21:14(残り: 17時間46分) 194LAP 1位
PIT STOP 04 回目 ドライバー交代なし 川端 Fタイヤ交換/給油

21:20〜21:56 SC
22:07〜22:11 FCY

22:35 (残り: 16時間25分) 227LAP 1位
PIT STOP 05 回目 ドライバー交代 川端→小河 F&Rタイヤ交換/給油

23:56〜 0:27 FCY

0:10 (残り: 14時間50分) 273LAP 1位
PIT STOP 06 回目  ドライバー交代なし 小河 Fタイヤ交換/給油

1:34 (残り:13時間26分) 317LAP 1位
PIT STOP 07 回目 ドライバー交代 小河→菅波 F&Rタイヤ交換/給油

2:23〜 2:34分 FCY

3:07 (残り:11時間53分) 366AP 1位
PIT STOP 08 回目 ドライバー交代なし 菅波 Fタイヤ交換/給油

3:24〜 3:29分 FCY(SC導入に移行)
3:29〜 3:44分31 SC

4:33 (残り:10時間27分) 407 LAP 1位
PIT STOP 09回目 ドライバー交代 菅波→川端 F&Rタイヤ交換/給油

4:58〜 5:03 FCY

6:06 (残り:8時間54分) 452LAP 1位
PIT STOP 10 回目 ドライバー交代 川端→谷岡 F&Rタイヤ交換/給油

7:25 (残り:7時間35分) 493LAP 1位
PIT STOP 11 回目 ドライバー交代 谷岡→小河 F&Rタイヤ交換/給油

12回目 8:54 (残り:6時間 6分) 540 LAP 1位
PIT STOP 12 回目 ドライバー交代 小河→菅波 F&Rタイヤ交換/給油

8:54〜 8:59 FCY

9:41 (残り:5時間19分) 563 LAP 1位
PIT STOP 13 回目(10分STOP)
ドライバー交代 菅波→川端 F&Rタイヤ交換/給油/各部チェック

9:41〜 9:44 FCY

11:54 (残り:6時間 6分) 611 LAP 1位
PIT STOP 14 回目 ドライバー交代 川端→小河 F&Rタイヤ交換/給油

12:58 (残り:2時間 2分) 662 LAP 1位
PIT STOP 15 回目 ドライバー交代 小河→菅波 F&Rタイヤ交換/給油

13:42〜13:50 FCY
14:13〜14:16 FCY

14:33 (残り:27分) 708 LAP 1位
PIT STOP 16 回目 ドライバー交代 菅波→谷岡 タイヤ交換なし/給油

14:35〜14:39 FCY

チェッカー 6月5日(日) 15時02分15秒987
走行時間:24時間02分47秒452  LAP:721LAP
ST-Qクラス1位(総合6位)


小河 諒……… 237LAP BEST:1分48秒357
菅波冬悟……… 207LAP BEST:1分49秒106
川端伸太朗…… 177LAP BEST:1分49秒087
谷岡 力……… 100LAP BEST:1分51秒582