WRC 第3戦 クロアチア・ラリー
オジェがエバンスとの大接戦を制して優勝
ドライバー選手権首位に返り咲く
概要/Outline

 エンドレスがパートナーとなっているTOYOTA GAZOO Racing World Rally Teamが4月23日に開幕した2021年FIA世界ラリー選手権(WRC)第3戦クロアチア・ラリーに参戦。WRCでターマック(舗装路)のステージだけを走行する「フルターマックラリー」が行われるのは2019年の8月以来であり、WRC初開催イベントであることに加え、今シーズンから新たにワンメイクタイヤとなったピレリ・タイヤを履いてのラリーとなるため、各チームともデータが十分ではない状態で競技初日を迎えました。

 開幕2戦が終了した時点でドライバー選手権3位につけているオジェは、デイ1の午前中のSS3でエバンスとベストタイムを分け合い、午後の再走ステージではSS6,7,8と3ステージ連続でベストタイムを記録。記念すべきキャリア通算600回目のベストタイムを記録しエバンスを抜き、首位に7.7秒差の2位でデイ1を走破。

 またドライバー選手権のリーダーとして同ラリーを迎えたロバンペラは1番手でSS1に臨みましたが、ステージ終盤の非常に滑りやすい右コーナーでコースオフ。クラッシュによるダメージがクルマのロールケージにまで及んだため、競技続行は不可能となりラリーからリタイヤすることになりました。

 明けたデイ2、8本のステージの合計距離は121.92kmと今大会最長。首位のライバルと異なるタイヤ選択をしたオジェはオープニングのSS9でベストタイムを刻み順位をひとつあげ首位に立ちました。その後も、タイヤのダメージでタイムを失う場面はありながらもこの日4本のベストタイムをマーク。2位につけるエバンスに6.9秒差をつけ首位で長い1日を終えました。

 最終のデイ3、最初の2本のステージでエバンスが連続でベストタイムを記録し、ロードアクシデントで遅れたオジェを抜き首位に。アクシデントではけがをした人が誰もいなかったため、オジェは競技を続行しましたが、最終ステージを前に二人のタイム差は3.9秒、オジェと総合3位のライバルは4.1秒差でした。

 迎えた最終ステージのSS20は、トップ5タイムを記録した選手とチームにボーナスの選手権ポイントが与えられる「パワーステージ」。エバンスより先にスタートしたオジェは、渾身のアタックでその時点で最速のタイムを刻みエバンスを待ちました。エバンスは最後のセクションまで首位を守り切れるくらい早いペースで走行していましたが、フィニッシュ付近のコーナーでラインが膨らみタイムロス。ベストタイムのオジェから4.5秒遅れの4番手タイムでステージを走り終え、わずか0.6秒差で総合2位に。

 オジェが逆転で開幕戦モンテカルロ以来となる今季2勝目を獲得しました。0.6秒差というタイム差は、WRCの歴史において至上3番目の僅差でした。

 パワーステージを制したオジェは、最大となる5ポイントをボーナスとして獲得。ドライバー選手権で首位に復帰しました。またエバンスはドライバー選手権で単独3位に。オジェとエバンスが1-2フィニッシュを飾ったことで、チームはマニュファクチャラー選手権トップの座を守り、2位のライバルチームとの差を27ポイントに拡大しました。

 WRC次戦は、5月20日から23日にかけてポルトガル北部のマトジニョスを中心に開催される、第4戦「ラリー・ポルトガル」です。2年ぶりに開催されるこのイベントは、今シーズン最初のグラベル(未舗装路)ラリーです。また、今シーズンからワンメイク供給されるピレリのグラベル用タイヤを装着して臨む最初のラリーとなるため、チームとドライバーにとっては新たなる挑戦となります。

 エンドレスは次戦以降もチームが最善の状態でラリーに臨めるようブレーキパッドの供給においてベストを尽くします。