レースレポート
スーパー耐久シリーズ 2021 第6戦 岡山国際サーキット 13号車
[予選/11月13日(土)]3号車 3位
Aドライバー/小河 諒…… 1位 PM 2:15〜 2:45 ドライ
Bドライバー/花里祐弥…… 4位 PM 2:55〜 3:20 ドライ

2020シーズン、13号車86のステアリングを握っていた小河 諒。クラスチャンピオンは逃したが、その頑張りから2021シーズンは3号車AMG GT4のDドライバーとして登録。トップクラスのドライバーが多いこのクラスでも、引けを取らない熱い走りを見せた。しかし最終戦の岡山ラウンドは、全6戦中SUGOラウンドと並んで、決勝の走行距離(時間)が最も短く、Dドライバーが走るチャンスはほとんどない。そのため、この最終ラウンドでは各パーツの開発も兼ねて送り込む13号車GRヤリスのAドライバーとしてステアリングを握る。Bドライバーには、今シーズン86/BRZレースに参戦中の花里祐弥を起用。花里はこのワンメイクレースのシリーズランキングでクラス2位につけるなど確実に力をつけてきており、満を持しての走行となる。

ただ、今回スポット参戦となる13号車には、「50㎏」という重いウェイトハンデがのしかかる。チームとしてGRヤリスのデータも乏しく、不安を抱えながらレースに臨むこととなった。しかしサーキットや自宅などから応援してくれているファンがいる。11月の寒さを吹き飛ばすような熱い走りを見せるべく、チーム・ドライバー共々全開で挑む。

金曜日の公開練習から好タイムをマークした小河&花里は「もっと煮詰めたい箇所もあるけど、いい感じで走れた。予選でもしっかりと走りたい」と、笑顔で話す。その言葉通り、予選ではAドライバーの小河がトップタイムを叩きだす。Bドライバーの花里も4番手ではあったが、ここまでのベストタイムを叩きだしている。小河は「金曜日に比べると、路面コンディションがすごくよくなっていて、ちょっとセットをミスした感じもある。このあたりがうまく決まっていたら、もっとタイムも伸ばせたし、祐弥が楽に走れたと思う。」と振り返る。

最終的に当チームのヤリスは3番手。翌日の決勝レースはこのポジションからお立ち台の最も高いポジションを目指す。
[決勝/11月14日(日)] 3号車 2位
午前中のGr.2に続いて行われたGr.1の決勝レース。
スタートドライバーの小河。無理することなく、序盤は着実にラップを重ねていく。一時は6番手にまでポジションを落とすが、ラップタイムはトップグループとほとんど変わりなく、20ラップ目に5番手へポジションを戻す。35ラップ目に花里にスイッチ。フロントのタイヤ2輪のみを交換してコースに戻る。この時点でのポジションは暫定4番手。45ラップ過ぎに3番手を走っていたWRX STI、数ラップ後にはここまで3勝を挙げている225号車のGRヤリスもピットストップ。これで当チームは2番手に浮上。トップを走るシビックはピットストップしていないため、実質のトップは当チームとなった。

そのシビックがコース上でストップし、正真正銘のトップに躍り出た当チームのヤリス。花里は2番手で猛追してきた225号車に差を詰められてしまうが、これまでの花里とは異なる安定感のある走りで自身のスティントを走り切った。

71ラップ過ぎ、225号車と同時にピットストップ。まさにピット勝負だ。ドライバー交代、タイヤ交換などほぼ同時に終わったかに見えたが、当チームのヤリスはまだ止まったままだった。実はタイヤかすが当たったのか、フロントバンパーが脱落しかけていた。

このトラブルにより、小河は2番手でコースに戻る。トップへ返り咲いた225号車との差は4秒ほどあったが、1秒以上速いラップタイムで襲いかかる。79ラップ目にはその差は0.3秒。しかし225号車も簡単にはパスさせてくれない。タイヤを使い過ぎたのか、小河のペースが落ちる。83ラップ過ぎには。その差は1.7秒、86ラップ目には2秒弱。熱いバトルはここまでかに見えたが、小河がこれで諦めるわけがない。87、89ラップに、このクラスのベストタイムとなる41秒台を叩きだし、再び225号車の背後に詰め寄る。0.2〜0.5秒差という手に汗握るバトルは、最終の101ラップまで続いた。

残念ながら0.22秒届かず、デビューウィンとはならなかった。しかし小河&花里のコンビは、ウェイトハンデをものともせず観客の視線を釘付けにするバトルを繰り広げてくれた。そして悔しいと叫びながらも、最高の笑顔を見せてくれた。
レースフォト/Race Photos