レースレポート
スーパー耐久シリーズ 2021 第5戦 鈴鹿サーキット
[予選/9月18日(土)] 3号車 6位
Aドライバー/内田優大…… 5位 PM 2:55〜 3:45 ドライ
Bドライバー/山内英輝…… 9位 AM 2:00〜 2:45 ドライ
Cドライバー/菅波冬悟…… 3位 AM 3:55〜 4:15 ドライ
Dドライバー/小河 諒…… 5位 AM 4:25〜 4:45 ドライ

今シーズンのスーパー耐久は、大きな日程変更もなく消化されているが、各レースとも荒れた流れが続いている。開幕戦のもてぎは大雨により赤旗。そのまま打ち切られたし、第2戦のSUGOも大きいクラッシュがあり赤旗。もてぎ同様、打ち切られるかに思えた。ところが再開。なんと、7ラップ足らずの超スプリントレース……。続く富士は、赤旗もなく問題なく決勝レースは行われたが予選は大雨により中止。前戦のオートポリスでも、決勝日が悪天候に見舞われ、赤旗中断。再開はされたが またまた、組み立てが難しいレースとなった。そして、今回の鈴鹿ラウンドも、台風の進路に重なっているため、土曜日、午前中のスケジュールを完全に中止すると前日から発表。不安を感じるレース前となった。

一方でコロナ禍の中ではあるものの、観客の入場が許可された。加えて、指定席券がなくてもグランドスタンドでの観戦を認めるなど、ファンには嬉しい対応をしてくれた。コロナ過ではいくつもの制限が課せられている。そんな状況下でも足を運んでくれるファンには、当チームをはじめチーム、さらにはサーキット側が「また、応援に行くよ」と言ってもらえるように努力し続けるべきである。

台風14号は午前中に過ぎ去り、予選が始まる午後2時前には青空が広がっていた。 路面はほぼ乾いているが、一部濡れているためウェット宣言のなかで予選は始まった。 「ドライの木曜、ウェットの金曜。ともに今シーズンいちばんイイ感じだったのになんで? というぐらい走りが違う」と、思うような走りができず、9番手に沈んだ山内。内田も「ほとんどセットを変えていないのに……」と5番手。総合の予選結果は6番手となった。このセットのままではオートポリスの時と同じで戦えない。菅波、小河が走るセクションで見直していく。

しかし、小河の走行の時、アクシデントが起こる。130Rでリヤ側ダンパーのロッドが破断。大きなクラッシュにならず助かったが、ひとつ間違えば……。なぜ、ロッドが折れたのかは不明。取り付け上の問題もなく、ドライバーの走りに大きな問題もなかった。走行距離が過度に伸びたロッドでもないし、AMG側も初めての事だという。可能性のひとつとして考えられるのは、当チームのメルセデスは50kgのウエイトハンディが課せられていて、他のメルセデスに比べると負担がかかっている点。何はともあれ原因究明が必要ではあるが、決勝レースは翌日に迫っている。一抹の不安を抱えながら、日曜日を迎えることとなった。
[決勝/9月19日(日)] 3号車 3位
予選終了後にダンパー交換。ダンパーだけでなく、各部のチェックを行い決勝に備える。 決勝当日は好天に恵まれた。10時過ぎには30度近くにまで外気温は上がっていたが、カラッとした感じでそこまでの暑さは感じない。

早朝のフリー走行で前日のダメージがないか、念入りにチェック。バイブレーションも異音もないことを確認。戦闘開始だ。シリーズランキングでトップに立つ当チームだが、アストンが一気に迫ってきているし、スープラ勢も速い。シリーズチャンピオンを目指すうえでも、攻めの走りでライバル勢より前でチェッカーを受けたい。一方で今回の鈴鹿ラウンドは5時間レースなのでポイントは1.5倍。下位に沈むようなことは許されない。確実にポイントを積み重ねる守りの走りも考えないといけない。

当チームは山内がスタートドライバーを務め、内田、小河、菅波で繋いでいき、セーフティカーなどが入ったら臨機応変に対応していく作戦で挑んだ。

午前11時30分過ぎ、ローリングが始まり、11時34分にスタートが切られる。スタート直後の激しいポジション争い、山内は攻めの走りで4番手にポジションを上げる。ライバル勢もここが大きなポイントとみて勝負を仕掛けてくる。バトルの中で軽い接触があったものの、山内は2番手争いを繰り広げる2台のスープラの後方に食らいついていく。3~5秒の差はなかなか縮めることはできないが、引き離されることはない。ここは無理をせず、タイヤの摩耗や燃費の事を考えて、守りの走りに徹する。

30ラップ過ぎ、山内から内田にスイッチ。ライバルの一角、5ZIGENは23ラップ過ぎに早めのピットストップ。トップで逃げるアストンは33ラップ過ぎ、スープラ勢の1台は39ラップまで遅らせるなど、燃費やタイヤの摩耗などの違いがはっきりと分かれたピットストップだった。
内田は7番手でのコースイン。安定した走りで確実にポジションを戻していく。36ラップ目には4番手。

59ラップ過ぎ、2回目のピットストップ。内田から小河にスイッチ。8番手でコースに戻る。BMWをパスするのに少し時間がかかってしまうが、5番手に上がるとペースアップ、3番手争いを繰り広げるマシンを追いかける。

スタート直後には40度以上あった路面温度がこの時刻から下がり出し、各チームともペースが上がり出す。

70ラップ過ぎに4番手、78ラップには3番手にポジションを上げた小河は、94ラップまで走り菅波にスイッチ。タイヤ交換などを最小限の作業時間で終わらせ、コースに送り出す。

トップで逃げるアストンは2分15秒台のベストをたたき出すなど、恐ろしいほど速い。だからと言って、優勝を諦めるわけにはいかない。ウエイトハンディを背負いつつも、菅波は非凡な走りで離されないようにラップを重ねる。トップにアストン、2番手にはポールポジションからスタートしたスープラ。35秒後方に菅波。4番手には同じメルセデスだが、大きく引き離している。スープラとの差は確実に縮まっていくが、当―チームのメルセデスにはテールトゥノーズに持ち込めるまでの速さはなく、14秒にまで縮めるに終わった。最終的に3番手でのチェッカー。

今季スーパー耐久は6試合中5戦のポイントを集計し、最も獲得ポイントの多いチームをシリーズチャンピオンとする有効ポイント制を同様実施している。

これで当チームは18ポイントを加えて97.5ポイント(有効ポイント:96ポイント)。2番手には、オートポリス、鈴鹿と連覇を果たしたアストンが予想通り上がってきた。88ポイント(有効ポイント:83ポイント)まで伸ばし、当チームとは有効ポイントで13ポイント差にまで迫ってきている。3番手にはTEAM 5ZIGENのメルセデス。鈴鹿が7番手だったため80.5ポイント(有効ポイント:74.5ポイント)

最終戦、岡山は3時間のレース。ポールポジションで2ポイント。1位で獲得できるポイント20ポイントなので最大で22ポイント獲得できる。この時点でチャンピオン争いに残ったのは、当チームを含む2チームに絞られた。どこまで言っても机上の計算になるが、当チームは9ポイント以上加算される4位以上(10ポイント)でチェッカーを受ければ、2021シーズンのチャンピオン&クラス3連覇が確定する。これまで以上にチームが一丸となって、タイトル奪取に向けて挑むので応援よろしくお願いいたします。

レースフォト/Race Photos