全日本ラリー選手権レポート
2021年もJN1クラスでENDLESSユーザーが活躍
スバルWRXを駆る新井大輝が2位で表彰台を獲得
概要/Outline

国内外のレースシーンで活躍するENDLESSはラリーシーンでも活躍。世界ラリー選手権のWRCでTOYOTA GAZOO Racing、M-SPORT FORD WORLD RALLY TEAMをサポートするほか、国内最高峰シリーズとなる全日本ラリー選手権、JRCでもトップドライバーおよびトップチームをサポートしており、2021年もENDLESSユーザーたちがトップ争いを展開している。

まず、最高峰のJN1クラスでは2018年および2019年のチャンピオン、新井敏弘をサポートするほか、2020年のチャンピオンである新井大輝をバックアップ。さらに、三菱ランサーエボリューションからトヨタGRヤリスに主力モデルをスイッチした奴田原文雄をサポートするほか、今季より解禁されたR5仕様車、シュコダ・ファビアR5を駆る福永修もENDLESSユーザーとして2021年のシリーズに参戦している。

彼らの勢いは2021年も健在で緒戦となった第2戦の新城ラリーでスバルWRXを駆る新井敏弘が今季初優勝を獲得したほか、第3戦のツール・ド・九州、第5戦の丹後ラリー、第6戦のモントレーではファビアR5を武器に福永が3連勝を達成した。

さらにJN5クラスおよびJN6クラスで活躍するMATEX-AQTEC RALLY TEAMもENDLESSのサポートチームで、トヨタ・ヤリスを駆る渡部哲成がモントレーでJN5クラスを制し、今季初優勝を獲得したほか、JN6クラスでもトヨタ・ヤリスを駆る吉原將大が開幕4連勝を達成。シーズン序盤から各クラスで猛威を発揮しているだけに、2021年もENDLESS勢がタイトル争いの鍵を握ることになるだろう。
2021年のラリー北海道 RALLY HOKKAIDO 2021

2021年の全日本ラリー選手権は早くも終盤戦を迎えており、9月10日~12日、北海道帯広市を舞台に第9戦のラリー北海道が開催された。同ラリーは今年で20回目を数える国際ラリーで、日本屈指の高速グラベル戦として定着。2021年の大会は新型コロナウイルスの影響により無観客となるほか、SS距離の短縮化が図られたものの、その分、スプリント性が強くなったことから序盤から脱落者が続出するサバイバルラリーが展開されることとなった。

そのなかで素晴らしい立ち上がりを見せたのが、2020年のJN1クラス王者、新井大輝だった。SUBARU TEAM ARAIの新井大輝はスバルWRXを武器に第2戦の新城ラリーで2位入賞を果たしたが、その後はWRCのクロアチアラリーで負傷し、約2ヶ月間に渡ってラリー活動を休止していた。7月末に開催されたERCのラリーローマで復帰すると、ラリー北海道で約6ヶ月ぶりにJRCに復帰。新井大輝にとってラリー北海道はこれまで2019年~2020年にかけて2連覇を果たしている得意のイベントで、今大会においてもENDLESSのモノブロックキャリパーを採用したWRXを武器にSS1のヤムワッカ・ショートでベストタイムをマークしていた。

しかし、「エンジンが不調でストールして不安定だった」と語るように、新井大輝はSS2のリクベツ・ロングで6番手タイムに止まるなど苦戦の展開を強いられていた。それでも新井大輝はSS3のヌプリパケで2番手タイムをマークするなど安定した走りを見せ、11日、曇天のレグ1をトップから9.2秒遅れの2番手でフィニッシュ。12日のレグ2は朝から雨に祟られウェットコンディションとなったほか、「エンジンの調子がさらに悪くなっていて、ほぼ3気筒の状態になっていた」と語るように、この日も新井大輝は苦戦を強いられるものの、それでも2回のサードベストをマークしてポジションをキープ、2位入賞を果たし、シーズン2度目の表彰台を獲得した。

また新井大輝の父、SUBARU TEAM ARAIの新井敏弘もグラベル戦を得意とするドライバーで、今季初のグラベル戦となったラリーカムイでも2位に入賞。今大会でもENDLESSのモノブロックキャリパーを採用したスバルWRXを武器にSS4のヤムワッカ・ショートでSSウインを獲得していた。しかし、残念ながらSS5のリクベツ・ロングでマシンが出火してしまい、リタイアになるなど、今季2勝目を狙っていた新井敏弘にとって悔しいリザルトとなった。

このようにトラブルを抱えながらも明暗を分けたSUBARU TEAM ARAIの2台のスバルWRXだが、その他のENDLESSユーザーたちも上位入賞を果たしている。まず、ENDLESSのブレーキパッドを装着したシュコダ・ファビアR5を武器にターマックで3連勝を果たしているTHREE FIVE MOTORSPORTの福永修がSS5のリクベツ・ロングでベストタイムをマーク。レグ1でフロントバンパーを破損しながらも5位入賞を果たしており、ポイントランキングで首位を堅守した。

さらに今季より三菱ランサーからトヨタGRヤリスに主力モデルをスイッチしたNUTAHARA Rally teamの奴田原文雄も安定した走りで6位に入賞している。ちなみに奴田原のGRヤリスは第3戦のツール・ド・九州よりENDLESSのモノブロックキャリパーを採用。同モデルはブレーキフリュードのパイプのないインパイプ式で、同チームのチーフメカニック、山田淳一氏は「三菱ランサーの時からENDLESSのモノブロックキャリパーを使用していましたが、もともと簡単に脱着ができるので作業性が高いアイテムでした。このGRヤリス用のモノブロックキャリパーは鍛造成型のスポーツ用キャリパーとしては珍しく、ブレーキフリュードのパイプがないので作業をしていても引っかかることがない。メカニックとしては扱いやすいですね」と語る。気になるインプレッションについても奴田原によれば「車両重量の重い三菱ランサーでもENDLESSのモノブロックキャリパーは安定していて、ロングステージでもまったくタレることはありませんでした。GRヤリスは車両重量が軽いので敢えてフロントに4ポッド式のキャリパーをいれているんですけど、モントレーみたいにターマックのロングステージでも安定していました。フィーリングが変わらないし、コントロールしやすいですね」とのことでドライバーからの評価も高い。

以上、最高峰のJN1クラスを中心に紹介してきたが、JN5クラスおよびJN6クラスで活躍するMATEX-AQTEC RALLY TEAMもENDLESSのサポートチームで、2021年のラリー北海道で躍進した。

まず、ENDLESSのブレーキパッドを装着したトヨタ・ヤリスを武器に吉原將大がJN6クラスで開幕6連勝を達成。2大会を残して同クラスのタイトルを確定させたこともラリー北海道のトピックスといっていい。

さらに、ENDLESSのブレーキパッドを装着したトヨタ・ヤリスでモントレーを制し、今季初優勝を獲得した渡部哲成もラリー北海道で安定した走りを披露し、JN5クラスで4位入賞。そのほか、トヨタ・ヤリスを駆る内藤学武が6位、トヨタ・ヴィッツを駆る辻井利宏が9位につけるなど、2クラスに計4台を投入したMATEX-AQTEC RALLY TEAMも全てのマシンが過酷なラリー北海道を走破した。

このようにラリー北海道でもENDLESSのサポートチーム&サポートドライバーが躍進。上位争いを展開しているだけに終盤戦においてもENDLESS勢がリザルトおよびタイトル争いを左右するに違いない。

なお、ラリー北海道ではTOYOTA GAZOO RacingでGRヤリスを駆る勝田範彦がJN1クラスを制覇。第7戦のラリーカムイに続いてグラベル戦で2連勝を達成した。