概要／Outline
　WRC第2戦として当初予定されていたラリー・スウェーデンが新型コロナウィルスの影響により中止となり、代替のスノーイベントとして、アークティック・ラリー・フィンランドがWRCとして初めて開催されました。ラリーのサービスパークが置かれるロヴァニエミは北緯66度33分と北極圏の入り口にあり、森林地帯に展開するステージは降り積もった雪によりラリーにとって理想的なスノーコンディションになりました。スタッドタイヤとこのコンディションの相性は良く、高いグリップにより、予想外にブレーキ負荷が高くなります。

　デイ1の2月26日は午前中にシェイクダウンが行われ、気温が上がった午後3時過ぎに1本目のSSがスタート。路面を覆う雪が柔らかくなってしまい、開幕戦優勝のオジェ、2位のエバンスは、出走順が1番手、2番手で、1本目のステージでは「雪かき役」になってしまい、タイヤのグリップを十分に得られず出遅れてしまい、初日エバンスが総合5位、オジェが総合9位で終えました。　一方ロバンペラ選手は順調に3番手タイム、2番手タイムを刻みデイ1を総合3位で終えています。

　区間の半分以上の距離を走行する2日目。デイ1を総合3位につけたロバンペラは1回のベストタイムを記録する好調さを見せ総合2位でデイ2を終了。

　エバンスはSS4でベストタイムを記録するなどいくつかのステージで速さを示し総合5位を堅持。初日出遅れてしまった選手権首位のオジェも徐々にペースを上げ、SS7終了時点で総合6位までポジションアップ。しかし、デイ２の最終ステージであるSS8のフィニッシュ直前で姿勢が乱れ雪壁に激突。スタック状態となりデイリタイヤとなりました。ただしダメージは大きくなく、デイ3に再出走することに。

　3日目、デイ3はサービスを挟むことなく22.47kmのステージを2回走行する計44.94kmで戦われました。デイ2終了時点で首位と24.1秒差、総合3位のライバルと1.8秒差の総合2位につけたロバンペラは、デイ3オープニングのSS9で2番手タイム。その再走となる最終SS10、パーワーステージではベストタイムを記録し僅差で迫る総合3位のライバルを抑え総合2位でフィニッシュ！ベストタイムでパワーステージ最大5ポイントを獲得したロバンペラは、ドライバー選手権で初めて首位に立ちました。

　総合5位でデイ3に臨んだエバンスはSS9でベストタイムを記録し総合4位のライバルに3.6秒差と猛追。しかし、最終のパワーステージでは6番手タイムに留まり逆転ならず総合5位に。エバンスとロバンペラが獲得したポイントにより、チームはマニュファクチャラー選手権首位の座を守りました。

　デイ2最終ステージでデイリタイヤとなったオジェは、デイ3で再出走。不利な早い出走順での走行とはなりましたが、パワーステージでは5番手タイムを記録し、ボーナスの1ポイントを獲得。その結果、ドライバー選手権首位の座は失いましたが、エバンスと同ポイントで、2位のライバルと4ポイント差の3位につけています。

　出走順や気候条件にも翻弄されベストな結果ではありませんでしたが、マニュファクチャラー、ドライバー選手権ともに首位をキープ。次戦、ターマックイベントであるクロアチア・ラリーでの更なる活躍を期待します。