SUPER耐久 2020 富士24時間レースレポート
波乱の展開となった24時間レースでENDLESS勢が躍進!
「ENDLESS AMG GT4」がST-Zクラスで大会2連覇を達成
概要/Outline
 新型コロナウイルスの影響で活動休止となっていた2020年のスーパー耐久がついに開幕。9月4日~6日、静岡県の富士スピードウェイを舞台にシリーズ第1戦「富士スーパーテック24時間レース」が開催され、ENDLESS勢が素晴らしい走りを披露した。

 今大会は雨の影響により4時間半に渡って赤旗中断となったほか、レース再開後もセーフティカーが続出する波乱の展開となるなか、ENDLESSのワークスチーム、ENDLESS SPORTSの「ENDLESS AMG GT4」がST-Zクラスで大会2連覇を果たしたほか、「ENDLESS 86」もST-4クラスにおいて2年連続で2位入賞を果たした。

 そのほか、同イベントではENDLESS SPORTSの2台を含めて総勢17台のENDLESSユーザーが参戦しており、埼玉トヨペットGreen Braveのニューマシン、トヨタ・クラウンRSをベースに開発された「埼玉トヨペットGBクラウンRS」がST-3クラスを制覇。さらにST-4クラスではC.S.I Racingの「GR Garage水戸インターGR86」が優勝するなど、ENDLESS勢が4クラス制覇を達成しており、波乱の24時間レースでパフォーマンスを証明した。
富士スーパーテック24時間レースの特徴/About Fuji SUPER TEC24 Hours Race
 2008年の十勝24時間レースを最後に開催が見合わせされていた国内24時間レースが2018年6月に復活。富士スピードウェイを舞台にした「富士スーパーテック24時間レース」として国内では10年ぶり、富士スピードウェイとしては50年ぶりに24時間レースが開催された。同イベントはスーパー耐久の一戦に組み込まれ、通常ラウンドよりも多くのポイントが配点されることから、数多くのチームがレギュラードライバーのほか、国内外のトップレースで活躍するプラチナドライバーやエキスパートドライバーを起用。マシンに関してもナイトセッションに合わせて補助ランプを採用するほか、長距離レースに備えてブレーキアイテムの強化や冷却システムの向上を図るなどソフト、ハードともに特別な一戦となっている。

 開催3年目となる2020年の大会は新型コロナウイルスの影響で、それまでの6月開催から9月に日程を変更したほか、入場人数やパドックエリアのアクセスが制限されたものの、観客動員が行われたほか、コースサイドでのキャンプおよびバーベキューも解放。残念ながら、夕刻より降り始めた雨の影響でレースが4時間半に渡って赤旗中断となったほか、レース再開後もセーフティカーが幾度となく導入されることとなったが、まさにレースファンにとって富士24時間はスペシャルなイベントで、ル・マン24時間レースやニュルブルクリンク24時間レースのように年に一度の祭典として定着している。
レースレポート/Race Report
 国内24時間レースとして2018年に復活を果たした「富士スーパーテック24時間レース」が9月4日~6日、国内屈指のハイスピードコースとしておなじみの富士スピードウェイを舞台に開催。今年で3度目の開催を迎える2020年の大会は、新型コロナウイルスの影響により例年の6月から9月に日程が変更されたほか、海外から遠征するチームが参戦を見合わせたものの、それでも8クラスに45台が集結した。  同イベントはスーパー耐久の開幕戦として開催されていることから、同シリーズで積極的な活動を展開するENDLESSもワークスチーム、ENDLESS SPORTSが2台のマシンを投入した。

 なかでも、素晴らしい飛躍を見せたのが、メルセデスAMG GT4の3号車「ENDLESS AMG GT4」だった。ドライバーのラインナップは内田優大/山内英輝/高橋翼/山田真之亮/富田竜一郎で、GT4規定モデルを対象とするST-Zクラスで躍進している。9月4日、好天の空の下で行われた予選ではクラス4番手に沈むこととなったが、5日の15時に幕を開けた決勝では激しい追走を披露した。

 今大会は夕刻に激しい雨に襲われ、4時間以上に渡って赤旗中断となったほか、深夜にレースが再開されてからもセーフティが続出。さらに明けた5日は天候が回復し、真夏のような太陽が照りつけるなど、目まぐるしく天候が変化する過酷なレースとなったが、ENDLESS AMG GT4は終始安定した走りを披露し、ST-Zクラスで大会2連覇を達成した。

 一方、ENDLESS SPORTSは1501cc~2000ccまでのマシンで争われるST-4クラスにトヨタ86の13号車「ENDLESS 86」を投入。こちらも小河諒/宮田莉朋/松井孝允/花里祐弥/菅波冬悟らを起用するなど豪華なメンバーが顔を揃えた。

 ENDLESS 86は予選こそ3番手にとどまったが、決勝では安定した走りでポジションアップを果たしレース中盤でトップに浮上した。それだけに2018年以来のクラス優勝が期待されていたのだが駆動系のトラブルが発生。それでも2年連続で2位入賞を果たし、表彰台を獲得した。

 以上、ENDLESS SPORTSの動向を紹介してきたが、2020年の“富士24時間”には、そのほかにも数多くのENDLESSユーザーが参戦。各クラスでトップ争いを展開していた。

 なかでも注目を集めたのが、2001cc~3500ccまでの後輪駆動車で争われるST-3クラスだと言えるだろう。同クラスには埼玉トヨペットGreen BraveがENDLESSのブレーキシステムを採用したトヨタ・クラウンRSの52号車「埼玉トヨペットGBクラウンRS」を投入。デビュー戦が過酷な24時間となるなか、同マシンは予選でクラス2位につけるほか、決勝でも安定した走りを披露し、デビュー戦でST-3クラスを制覇。さらにOKABE JIDOSHA motorsportが投入したニッサン・フェアレディZの15号車「岡部自動車RECAROフェアレディ-Z」も予選で1位を獲得したほか、決勝でも3位入賞を果たし、ENDLESS勢がST-3クラスで1-3フィニッシュを達成した。

 また、前述のとおり、ENDLESS 86が2位に惜敗したST-4クラスではC.S.I Racingのトヨタ86、310号車の「GR Garage水戸インターGR86」が素晴らしい走りを披露している。ENDLESSのブレーキアイテムを活かして予選で1位を獲得したほか、決勝でもコンスタントな走りでST-4クラスを制覇。ENDLESS 86が2位につけたことで、ENDLESS勢がST-4クラスで1-2フィニッシュを果たしたことも2020年大会のトピックスといえるだろう。

 さらにTCR規定モデルを対象にしたST-TCRクラスでもWAIMARAMA KIZUNA RACINGが投入したアウディRS3 LMSの22号車「WAIMARAMA KIZUNA Audi RS3 LMS」がENDLESSのブレーキパッドを武器に躍進している。予選こそ3位に甘んじたものの、決勝では驚異の追走劇を披露し、逆転でST-TCRクラスを制した。

 そのほか、ENDLESS AMG GT4が大会2連覇を果たしたST-ZクラスではD’station Racingのアストンマーティン・バンテージAMR GT4の47号車「D’station Vantage GT4」も安定した走りを披露。予選で3位につけると決勝でもENDLESSのブレーキパッドを武器に順調にラップを消化し、3位に入賞。ENDLESS勢が同クラスで1-3フィニッシュを達成した。

一方、GT3規定モデルを対象にしたST-Xクラスでは、D’station Racingが投入したアストンマーティン・バンテージAMR GT3の777号車「D’station Vantage GT3」が4日の予選でポールポジションを獲得した。5日に幕を開けた決勝でもENDLESSのブレーキパッドを装着したD’station Vantage GT3は素晴らし立ち上がりをみせていたのだが、レース序盤でホイールが脱落するトラブルが発生したほか、再出走後もハブに異常を抱えたことにより、レース中盤でリタイアすることとなった。

 まさに残念なリザルトとなったが、ST-Xではaprが投入したレクサスRC F GT3の31号車「DENSO LEXUS RC F GT3」が素晴らしいパフォーマンスを披露。予選こそ総合5位にとどまっていたものの、決勝では粘り強い走りを披露し、ENDLESSユーザーとして総合2位で表彰台を獲得した。

 また、2001cc~3500ccの4輪駆動車および前輪駆動車で争われるST-2クラスでは、TOWAINTEC Racingの59号車、スバルWRX STIの「DAMD MOTUL ED WRX STI」が躍進している。ENDLESSのブレーキシステムを武器に、予選で2位につけると決勝ではレース序盤にトップへ浮上。残念ながらタービンの不調によりレース後半でライバル勢の先行を許すこととなったが3位で表彰台を獲得した。

 このように2020年の富士スーパーテック24時間レースにはENDLESS SPORTSの2台を含めて総勢17台のENDLESSユーザーが参戦しており、合計で4クラス制覇を達成した。過酷な24時間レースでブレーキアイテムのパフォーマンスを改めて証明しただけに、2020年のスーパー耐久シリーズでは今後もENDLESSユーザーが上位争いを展開するに違いない。
ギャラリー
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