レースレポート
スーパー耐久シリーズ 2024 NAPAC富士SUPER TEC24時間レース 13号車
トップページ >> モータースポーツページ トップ >> スーパー耐久シリーズ 2024 NAPAC富士SUPER TEC24時間レース 13号車 レポート

マシン #13 ENDLESS GR YARIS 参戦クラス ST-2クラス
Aドライバー/花里 祐弥
Bドライバー/石坂 瑞基
Cドライバー:伊東 黎明
Dドライバー:岡田 整
監督 / 中村 稔弘

<#13 ENDLESS GRヤリス>

開幕戦はノートラブルで完走するも4位と悔しい結果に終わり、その雪辱を誓うエンドレスGRヤリス。昨年逃したシリーズチャンピオンを目指すチームにとって、獲得ポイントの多い富士24時間での表彰台、そして優勝は必須だ。ドライバーは前戦#3 ENDLESS GR86をドライブした伊東が戻ってきたため、昨年以来となる花里/石坂/伊東/岡田の4人体制となった。昨年の富士24時間で優勝を飾ったメンバーで連覇を狙う。

Aドライバーは今シーズンもジェントルマンドライバーの起用が定められており、このレースでもAドライバー花里がプロドライバー認定を受けることに。レース時間の長いこのレースでは3分間(ピット入口から出口まで)のピットストップハンディキャップが課された。
予選

A 花里 祐弥 1’53.910 クラス5番手

B 石坂 瑞基 1’53.268 クラス4番手

C 伊東 黎明 1’56.577 クラス5番手

D 岡田 整 1’56.614 クラス7番手

→予選結果6位/8台中

開幕戦ではライバルのGRヤリス、シビックタイプRに速さがあり、6位でのフィニッシュとなった。そこで各部の見直しを進め、速さをブラッシュアップ。長い24時間レースとなるため、一発の速さだけでは勝てずともアベレージでのラップタイムで優位に立てるよう、コンスタントなクルマの速さを追求した。

快晴の富士スピードウェイは25℃前後の過ごしやすい気温。5月24日12時00分から予選が開始となった。Aドライバー花里は5番手タイム、Bドライバー石坂は4番手タイムをマークした。A・Bドライバーの合算によって決められる予選順位は6位と下位からのスタートとなるが、安定感を武器に順位を上げていきたい。またC・Dドライバー予選も行われ、伊東・岡田の両ドライバーも決勝に向けて習熟を深めた。
決勝

決勝結果:クラス優勝

スタートドライバーは花里。スタート直後、前述のハンディキャップの消化のためピットへ。一度クラス最下位へポジションダウンしコースに復帰。

43周目に約90分の走行をして最初のピットイン。ドライバーは花里から石坂に交代。タイヤ交換はフロントのみとして、ピット時間を短縮する。

安定したペースを保って徐々にポジションアップし、約6時間を経過した時点で遂にクラストップに立つ。ペースも良く、ここまで予定通りにレースを進めることに成功。

スタートから8時間が過ぎた23時頃より小雨が降り始める。他のクラスではウエットタイヤに交換するチームも出てくるが、ENDLESSは雨が降り続かないと読んで、24時過ぎにピットインした際にもスリックタイヤでピットアウト。ドライバーは伊東のままタイヤ交換と給油を行ってコースへ送り出す。

深夜1時30分。ドライバーを伊東から石坂に交代。雨が降り続きウェットコンディションの路面になっているものの、4WDのGRヤリスはスリックタイヤのまま無交換で給油とドライバーチェンジのみを行う。このときクラストップの#13を筆頭にST-2クラスのほとんどの車両はスリックタイヤのまま走行。というのも石坂いわく「スリックタイヤではかなり厳しいコンディションだった」とのことだが、ペースを保って走行できていた。そのため同じクラスの各マシンは、ピットインしてレインタイヤに交換してもピットイン時のロスタイムを取り戻せない、と判断したようである。

次のピットインでドライバーは再び伊東に交代。まだ湿った路面状況ではあったがスリックタイヤのままピットアウト。また摩耗が少ないウエット路での走行後であったことからタイヤ無交換でコース復帰。徐々に乾いていく路面で少しずつペースアップをしながら、2位に1周の差をつけて順調に周回。

午前6時30分を回り、10分間のメンテナンスタイムを使ってブレーキパッドとローターを交換。左リアブレーキ取付時に若干のトラブルがあったが、バックアップ用パーツを準備していたため問題なく交換を完了。ややオーバーして約12分掛かってしまったが、トップのままコースへ戻る。残り時間は約8時間。

順調に石坂、花里、岡田とスティントをこなして残り4時間で花里に交代。Aドライバー花里は約3時間半の乗車最低時間が定められており、その消化をするべくコースイン。2位とは約4周の差があるが、安定したラップを刻むことが求められる。花里は安定したペースで走り、さらにライバルがペナルティを受けたことで2位との差は5周へと開く。

12時25分、花里から石坂に交代。あと2時間半、ペースを保って走れば優勝はもう目前という状況に。約75分のスティントをこなして石坂から岡田に交代。残り時間を岡田に託す。2位との差は約5周。

岡田はミスなく安定したラップでさらに後続を引き離し、独走状態でゴール。見事富士24時間耐久レース2連覇を達成した。

Super 耐久の詳細については、チームの公式ウェブサイトをご覧ください。

https://supertaikyu.com/
ドライバー・監督コメント
●Aドライバー 花里 祐弥

去年は「勝って嬉しい24時間」でしたが、今年は盤石の体制で挑んだため、「勝って安心した24時間」でした。製品としては今回新たなパッド材質を投入していて、焼結材(シンタード)ではなくセミメタリック材(セラミックカーボンメタル)を使いました。ほぼぶっつけ本番での投入でしたが、初期制動の弱い焼結材と違い初期から高い効きが持続するセミメタリック材で安定したブレーキを手に入れることができたのは、エンドレスとして大きな収穫になりました。

サスペンションでは、質量の大きな新しいMBR(メイクバンプラバー)を投入しました。良いフィーリングを得ることができ、データ収穫という意味で大きな意味がありました。また24時間レースで使ってもフィーリングに変化はなく、壊れてしまうこともなく良いテストになりました。

レースとしてはチームのひとりひとりがやることをしっかりと行えたことで、ペナルティもなくクルマも壊れずに走れたことで優勝という結果がついてきたと思います。シリーズを考えるとこの優勝はとても大きく、昨年取り逃したシリーズチャンピオンを今年こそ取りに行きたいと思います。
●Bドライバー 石坂 瑞基

24時間レースとなるといかにコンスタントラップを安定して刻めるかが重要ですが、そこがまず優れているクルマになっていたこと。次にドライバーもスタッフも全員が自分の仕事をやり遂げることができ、ミスなくできたことが優勝につながったと思います。クルマにアップデートを加え、MBRもより良い物をテストしていました。それらを決勝でコンスタントラップを刻みやすいように想定してセットアップしていたので、100点に近いクルマにすることができました。予選でも決勝でも同じように思い切り走ることができ、安定した走りをすることができました。ありがとうございました。
●Cドライバー 伊東 黎明

開幕戦は3号車で参戦していたので久しぶりのGRヤリスでしたが、昨年と比べて乗りやすくなり進化が感じられました。予選ではシビックとランサーに対してタイム的には劣る部分もありましたが、乗りやすさから生まれるラップの安定感があり、昨年に続いて24時間で勝つことができました。スリックタイヤで雨が降ってくる状況でしたが、そこで2スティント乗ったことも、作戦としては安定したラップを刻みやすくて成功だったと思います。ありがとうございました。

●Dドライバー 岡田 整

今回は今までで最もクルマのセッティングバランスがよく、前後新品タイヤ、フロントだけ新品でリアはユーズドタイヤ、前後ユーズドタイヤといったどの組み合わせでもすごく乗りやすく、安定したラップタイムを刻むことができました。次戦もチームの戦力となれるように精一杯努力と準備をして第3戦を迎えたいと思います。次戦もよろしくお願いします。

●監督 中村 稔弘

今回も予選では一発の速さを見せることができませんでした。しかし、トラブルなく周回を重ね、メカニックもミスなく仕事をこなしたことでアドバンテージを築くことができ、2年連続富士24時間で優勝することができました。それもブレーキパッドやキャリパー、サスペンション、MBRなど各パーツの熟成が進んでいることが貢献していると思います。
またドライバーも開発スタッフも若手が多いですが、それぞれが育ってきた結果、優勝することができたと思います。そういった意味でも成長を感じられて収穫があるレースでした。応援ありがとうございました。