SUPER耐久 2017 レースレポート
最終戦 13号車 岡山国際サーキット
[予選/10月14日(土)] 13号車 2位
Aドライバー/小河 諒…… 4位  PM 1:00〜ドライ(11分間の赤旗中断あり)
Bドライバー/高橋 翼…… 6位  PM 1:40〜ドライ
Cドライバー/花里祐弥…… 9位  PM 2:10〜ドライ
予選レポート
4月にもてぎで幕を開けた2017シーズンは、もがき苦しんだシーズンだった。3位、2位……と表彰台に上がるも、ライバルの86号車との差は広がるばかりで、最終戦を待たずして連覇の夢は途絶えてしまった。となれば、この最終戦で勝利を掴んで一矢報いたい。
結果は2位に終わったが、チームだけでなく、雨の中、朝早くから駆けつけてくれたファンの心にも残る熱い走りを見せることができたのは……。間違いない!

最終戦はいろいろな面で荒れたレースとなった。つい数日前には30℃に迫ろうかという暑さだったのに、翌日には20℃を切るという天候。加えて路面コンディションもドライにウェットと日替わり状態が続いた。
ライバルに立ち向かうには、同じことをやっていても勝てない。決勝が行われる日曜日は雨の予報。だから木/金曜日の練習走行では、単なるタイヤのチェックではなく、乾きだしたウェット路面ではどのタイミングでドライ用タイヤに切り替えるかなど、あらゆる状況を想定してチェックを行なった。

予選は天気予報どおり、雨が落ちることもなくドライ路面となった。今回は足回りのセットを一新。ダンパーの微調整に加え、スプリングも変更して、しなやかな動きを重視したセットで挑んだ。これまでのセットは、タイヤのタレが掴みにくかったが、今回のセットははっきりと分かる。マシンの状況に合わせたベストな走りができるとなれば、間違いなく、ライバルの86号車に近づける。
Aドライバーによる予選では、当チームとランキング2位争いを繰り広げているマシンが全損に近いクラッシュ。これで赤旗が振られる。アタックに入っていた小河にとっては痛かったが、この赤旗がなかったとしても1分42秒台。86号車には届きそうもない。
Bドライバーの予選は、10分遅れで始まる。一方、高橋はじっくりとタイヤを暖めてアタックに入るが、なかなかクリアラップが取れず、1分43秒台の6番手にとどまる。ただ、Bドライバーの予選では86号車1台だけが抜けていて、2番手から11番手までの10台が1秒以内という肉薄した戦いとなった。A+Bドライバーの合算タイムでは2番手。今季、最高位のポジションをもぎ取ることに成功した。

[決勝/10月15日(日)] 13号車 3位
AM 8:35スタート(AM 11:35チェッカー)3時間レース ウェット
決勝レポート
岡山ラウンドの決勝レースは、これまで同様2グループ(Gr.1:ST-X/ST-TCR/ST-1/ST-2/ST-3 Gr.2:ST-4/ST-5)に分けて行われた。ハチロクが走るGr.2の決勝レースのスタートは8時35分にスタートが切られる。以前のような朝のウォームアップ走行が設けられていないため、路面に合わせた細かなセッティングはできない。簡単に言うならこれまでのデータを元にいくしかない。
決勝当日の予報はというと雨。確かに前夜から雨が降り、路面も完全なウェット状態。スタート進行が始まっても雨は落ちてこない。他のサーキットに比べると乾きにくいと言われる岡山だけに、仮に雨が落ちてこなくても、強い日差しがささない限り、1時間ぐらいで乾くとは思えない。とは言ったものの最終コーナーよりの空は明るく、雲の薄いところからはわずかだが日差しも見られる。
早い話しがどっちに転ぶか分からない状況だった。

全車、スリックタイヤでグリッドに付く。競技委員長からローリングスタートではなく、セーフティカースタートが告げられる。通常のローリングスタートと見た目は変わらないが、セーフティカースタートの場合、セーフティカーが動き出した時点で時計が動き出すのと、スタートまでの間にピットストップしてドライバー交代すれば、義務付けされている2回のピットストップのうちの1回を消化したことにもなる。
後方グリッドからスタートするチームは、ここでピットに入って勝負に出るが、当チームは最前列からのスタート。この手のギャンブルはできない。
3ラップをセーフティカーに誘導された後、スタートが切られる。予想した通り、路面は完全ウェット。スタートドライバーの小河は、まずまずのスタートを切るがトラクションがかからず、明らかに遅い。ライバル勢が1分52〜53秒で走る中、当チームのハチロクは55〜56秒台。5ラップ目には5番手、7ラップ目には7番手、8ラップ目には9番手にまでポジションを落とす。
レコードラインの雨水が少なくなってくると、小河のペースも54秒台に上がり、大きく引き離されなくなったが、依然として厳しい状況が続いた。20ラップ目、6番手までポジションを戻したところで雨が落ちだす。1回目のピットストップ。チェッカーまでの時間は2時間と7分のところ。高橋にスイッチ。タイヤはそのまま、ガスだけ入れて高橋をコースに送り出す。ポジションは11番手にまで落ちているが高橋もジワジワと追い上げ9番手にまで上がる。
42〜43ラップ過ぎ、トップグループのピットストップが始まる。その直後の46ラップ目、クラッシュしたマシンがコース上に止まったためセーフティカーが5ラップに渡りレースをコントロールする。このタイミングでほとんどのマシンが2回目のピットストップを消化。

当チームもピットストップさせたいのだが、なんとか追い上げるには小河がいくしかない。ただ、レギュレーションで一人のドライバーが走れる最大時間は2時間。このタイミングで交代してしまうと、もう1回、高橋がステアリングを握らないといけない。交換できない状況だった。
トップグループが2回目のピットストップをしたため、モニター上のトップに当チームのハチロクが躍り出る。ピットストップに要するロスタイムやラップタイムなどから計算すると、1分近くのリードを持って2回目のピットストップを行なっても5番手あたりでしかコースに戻れない。

予選で大クラッシュしたS2000は、朝までにマシンを修復、最後尾からのスタートながら、すでに9番手にまでポジションを戻している。このままでは前にいかれてしまい、ランキングも3位に落ちてしまう。必死に逃げる高橋に無線の指示が飛ぶ。 厳しい状況が続く中、65ラップ過ぎ、この日、2回目のセーフティカーがコースに入る。当チームはこのチャンスを見逃すことなく、高橋をピットにいれ小河にスイッチする。
4番手でコースに戻る。トップは86号車。遥か彼方だ。2番手にロードスター、3番手にシビック。この2台射程圏内。2番手にまで上がれる可能性がグッと膨らんできた。ただ、5番手にはランキング2位を争っているS2000が5秒後方から追い上げてきている。レース中盤には1分53秒台と速いラップも叩き出しているだけに油断はできない。

72ラップ目、セーフティカーが抜けると、シビックが2番手に上がり、ロードスターが3番手に後退。当チームのハチロクとの差は2秒弱。小河は1分54秒台で追う。ロードスターも同じようなタイムで必死になって逃げる。81ラップ目、その差はコンマ18秒。まさにサイドbyサイドになるが抜くには至らない。SUGOラウンドで終盤、接触しているロードスターで、ドライバーも同じ。勢いだけではいけない。慎重にチャンスを狙う小河。チェッカーまで5分を切るがコンマ5〜7秒のバトルは続く。
最終ラップの最終コーナーをロードスターが立ち上がってくる。この内側に並ぶようにして立ち上がってきた小河。エンドレスのピットの前をほぼ並ぶようにしてフィニッシュラインに向かう。勢いは当チームのハチロクにあるように見えたが、タイムモニターはロードスターが3番手、当チームが4番手で映し出された。「ア〜」と言うため息がピットガレージに流れた。次の瞬間、タイムモニターの3番手に当チームのハチロクが上がった。
マシンに取り付けるセンサーの位置でロードスターが先にチェッカーを受けたかたちになったが、すぐに行われたビデオ判定により当チームのハチロクの方が0.036秒先にフィニッシュラインを超えていた。
この瞬間、ため息は大歓声に変わった。優勝ではなく、3位なのだが目が潤んでいるスタッフもいる。2016シーズン最終戦のオートポリスで峰尾が感動の走りを見せた。まるで再現するかのように今シーズンは小河が見せた。もちろん、メカニックやエンジニアのがんばりがなければ、ここまでは追い上げられないし、高橋と花里という新しいドライバーの力があったからだ。

シリーズランキングは2位。狙っていた連覇は達成できなかったが、連続表彰台は15に更新。2017シーズン、小河を軸に高橋、花里というスーパー耐久未経験のフレッシュなドライバーで挑んだ13号車。2018シーズンはチャンピオン奪回を狙って、今シーズンに負けない熱い戦いで多くのファンに感動を与えられるように……。
2017シーズン、エンドレスのハチロクを応援して頂いたファンの方々、たいへん有り難うございました。
ギャラリー
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