2018年も「Mスポーツ・フォードWRT」へブレーキアイテムを供給
絶対王者、オジェが6連覇に向けて開幕戦のモナコを制覇!
エバンスも6位入賞。ENDLESS採用のフィエスタWRCが伝統のターマックを攻略!
概要 Outline
 国内外のレースシーンで活躍するエンドレスはラリーシーンでも活躍している。2005年および2007年のPWRC(プロダクションカー世界ラリー選手権)でチャンピオンに輝いた新井敏弘など数多くのユーザーをサポートするほか、ラリー競技の最高峰シリーズ、WRC(世界ラリー選手権)でも三菱、プジョーなどの数多くのワークスチームをバックアップ。さらに2009年からはフォードのワークスチーム「フォード・ワールドラリーチーム」(フォードWRT)にオフィシャルサプライヤーとしてブレーキアイテムを供給している。  

 2012年を最後にフォードはワークス活動を休止するものの、エンドレスは引き続きテクニカルサプライヤーを務めてきた「Mスポーツ」の活動をサポート。その活動はテクニカルレギュレーションが一新された2017年も健在で、Mスポーツは新規定モデルのフォード・フィエスタを武器に活躍した。エースのセバスチャン・オジェがドライバーズ部門で5連覇を果たすほか、Mスポーツはマニュファクチャラーズ部門でもタイトルを獲得したことは記憶に新しい。  

 2018年はフォードのサポートが復活したことにより、再びワークスチーム「Mスポーツ・フォード・ワールドラリーチーム」(Mスポーツ・フォードWRT)としてWRCに復帰。常時3台のフィエスタWRCを投入するなど体制を強化して二部門でのディフェンディングに挑む。

 エースドライバーを務めるのは絶対王者のオジェで、昨年までDMACKタイヤのワークスチームでフォード・フィエスタWRCのステアリングを握っていたエルフィン・エバンスがセカンドドライバーに昇格。さらに開幕戦のラリー・モンテカルロにはターマックを得意とするブライアン・ブフィエをサードドライバーとして起用するなど、3台目のフィエスタWRCにはイベントごとにスペシャリストを起用する予定だ。  

 主力モデルのフォード・フィエスタWRCは熟成が進んでいるだけに安定性が高く、開幕戦のラリー・モンテカルロでもMスポーツ・フォードは猛威を発揮した。エースのオジェが大会5連勝で開幕戦を制覇するほか、エバンスが6位、ブフィエが8位に入賞。ラリー・モンテカルロはスノーとアイスが混在する特殊なターマックイベントながらシリーズ連覇に向けて手応えのある一戦となった。  

チーム体制 Team
モンテカルロ、サファリなどのクラシックラリーで数多くの勝利を獲得するほか、1973年にWRCが発足してからも常に最前線でトップ争いを展開するなど、ラリーの名門として活躍してきたフォードが2012年でワークス活動を休止した。まさにラリーファンにとっては残念なニュースとなったが、1997年よりフォードのテクニカルサプライヤーとしてマシン開発およびラリーオペレーションを担ってきたMスポーツがフォードの有力チームとして参戦を継続している。

 マルコム・ウィルソンが率いるMスポーツはチーム力においてNo.1の実力を持っており、2006年および2007年にはフォードのマニュファクチャラーズ部門の2連覇を演出。さらに2017年はフォルクスワーゲンのエースとしてドライバーズ部門で4連覇を果たしたフランス人ドライバー、セバスチャン・オジェをエースとして起用するほか、DMACKのドライバーとして活躍していたエストニアの若手スプリンター、オット・タナクをセカンドドライバーに抜擢したことでMスポーツWRTが猛威を発揮している。  計2勝をマークしたオジェがドライバーズ部門で5連覇を達成するほか、タナクも2勝をマークしたことでMスポーツWRTがマニュファクチャラーズ部門も制し、二冠を達成した。  

 その勢いは2018年も健在で、フォードがサポートを再開したことで再びマニュファクチャラーの「Mスポーツ・フォードWRTとしてWRCの最前線に復帰。ドライバーもエースのオジェが残留したほか、DMACKのドライバーとして2017年の第12戦「ラリーGB」を制したイギリス人ドライバーのエバンスを起用するなど充実した顔ぶれだ。  そのほか、ラリー・モンテカルロではフランス出身のブフィエをサードドライバーとして起用するなど3台目のフィエスタWRCには各イベントのスペシャリストを起用する予定で、ドライバーズ選手権とともにマニュファクチャラーズ選手権でもディフェンディングが期待されている。  
マシン・プロフィール フォード・フィエスタWRC
 2017年のレギュレーション変更に合わせてMスポーツWRTが投入した新型WRカーで、ラリーエンジニア、クリス・ウィリアムズが開発を担当。文字どおり、フィエスタをベースに2015年のシーズン中盤から開発を続けてきたマシンだ。同モデルの特徴は大胆なエアロダイナミクスで、レギュレーションに合わせて空力パーツを刷新。攻撃的なフォルムを採用することで抜群のダウンフォースを獲得している。

 エンジンも吸気リストリクター系の拡大でパワーアップが図られるほか、アクティブセンターデフの採用でコーナリング性能が向上したことも2017年型モデルの特徴と言っていい。これに合わせて足回りも一新されるほか、ブレーキシステムも冷却用ダクトが設置されるなど細部まで強化されたこともポイントだ。

 フォード・フィエスタWRCは歴代WRカーと同様にバランスに優れたマシンに仕上がっていることに加えて、2017年のWRCを通して熟成が進んだことにより安定性が向上。事実、2018年のWRC開幕戦、ラリー・モンテカルロでも素晴らしいパフォーマンスを披露している。

 モンテカルロは雪と氷に覆われた特殊ターマックとして知られ、抜群の対応能力が求められるのだが、MスポーツWRTはエースのオジェが計4本のSSでベストタイムをマークし、大会5連勝で開幕ウインを達成。さらに2本のSSを制したエバンスが6位、安定した走りを披露したブフィエが8位につけるなど、乗り手を選ぶことなく、フレンチアルプスを攻略したのである。今後もセットアップを含めて、マシンの進化が期待されているだけに、フィエスタWRCはMスポーツ・フォードWRTにとって躍進の原動力となるに違いない。
ドライバー・プロフィール:1号車 セバスチャン・オジェ/No.1 Sebastien Ogier
  1983年12月17日生まれ、フランス出身。22歳でラリー競技にデビューし、2008年にはシトロエンのワークドライバーとしてJWRC(ジュニア世界ラリー選手権)に参戦。2011年にはシトロエンのワークスチームでWRCに参戦するものの、2012年にはフォルクスワーゲンへ移籍し、チームのオペレーションテストを目的にシュコダS2000でWRCに参戦した。2013年にフォルクスワーゲンが正式参戦を果たすと、オジェはポロWRCを武器に猛威を発揮。ドライバーズタイトルを獲得するほか、その後もWRCを支配し、2016年にはドライバーズ部門で4連覇を達成するとともにフォルクスワーゲンのマニュファクチャーズ部門の4連覇に貢献した。フォルクスワーゲンの撤退に伴い、2017年はエースとしてMスポーツへ移籍。フォード・フィエスタWRCを武器に自身の5連覇を達成するほか、Mスポーツのマニュファクチャラーズタイトル獲得に貢献した。

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ドライバー・プロフィール:2号車 エルフィン・エバンス/ No.2 Elfyn Evans
  1988年12月28日生まれ、イギリス出身。WRCおよびイギリスラリー選手権で活躍したグウィンダフ・エバンスを父に持つ二世ドライバーで2007年のフィスタ・スポーティング・トロフィーでラリー活動を開始。2012年にはFIAが新設した若手の登竜門シリーズ、WRCアカデミーカップでタイトルを獲得しており、2013年にはMスポーツのフォード・フィエスタでWRC2にチャレンジした。2014年にはMスポーツのフォード・フィエスタWRCでトップクラスに参戦しており、メキシコとドイツで4位に入賞。さらに2015年にはツール・ド・コルスで2位につけるなど2度の表彰台を獲得するものの、2016年はWRC2へのスポット参戦に止まった。しかし、2017年にはDMACKタイヤのワークスドライバーとしてWRCに復帰し、第13戦として開催されたホームイベントのラリーGBで自身初優勝を獲得。その実績が高く評価されたことで、2018年はMスポーツ・フォードWRTのセカンドドライバーに昇格した。

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2018年のWRC Future of WRC 2018
 2018年のWRCにはトヨタ、シトロエン、ヒュンダイの3メーカーのほか、2012年でワークス活動を休止していたフォードがMスポーツへのサポートを再開。マニュファクチャラーチームの「Mスポーツ・フォードWRT」として復帰したことで久しぶりにWRCに4大メーカーが集結した。

 そのなかでタイトル争いを左右する存在として注目を集めているのが、2017年のWRCで二冠を達成したMスポーツ・フォードWRTにほかならない。ドライバーズ選手権で6連覇を目指すセバスチャン・オジェを引き続きエースとして起用するほか、昨年のラリーGBで自身初優勝を獲得した若手のエルフィン・エバンスを起用するなど充実したラインナップ。事実、Mスポーツ・フォードWRTは1月25日~28日に開催された開幕戦のラリー・モンテカルロでも熟成を極めたフォード・フィエスタWRCを武器に抜群のパフォーマンスを披露していた。

  開幕戦のモンテカルロはデイ1、デイ2、デイ3をフランス中部の山岳リゾートのギャップ、デイ1をモナコで争う計4日間の特殊フォーマットで、しかも、ステージはターマックに雪と氷が点在する特殊なコンディションとなるものの、Mスポーツ・フォードWRTは序盤から好タイムを連発していた。

 まず、1月25日、モナコでのセレモニアルスタートを経てナイトステージとして開催されたオープニングのSS1でオジェがベストタイムを叩き出すほか、続くSS2でもベストタイムをマーク。いずれも積雪こそ少ないものの、凍結区間のあるターマックを攻略しており、後続に約17秒の差をつけてデイ1を制覇する。

 その勢いは翌26日のデイ2でも衰えることなく、オジェはSS4でベストタイムをマークするなど、フォード・フィエスタWRCを武器にターマックステージで好タイムを連発。途中、スピンやコースアウトでタイムを失う場面もあるものの、オジェは首位をキープし、後続に約14秒の差をつけてデイ2をトップでフィニッシュした。

 翌27日のデイ3は前日夜間の降雪の影響により、アイス&スノーの過酷なコンディションとなるものの、オジェはライバルたちが後退するなか、コンスタントな走りでリードを拡大。2番手に約33秒の差をつけて競技3日目を走破する。

 そして、モナコ周辺のターマックで争われたデイ4ではSS14でベストタイムを叩き出すなど、ここでも好タイムを連発しながら後続とのギャップを拡大。最終的には後続に約58秒差をつけて大会5連勝を果たし、ドライバーズ部門の6連覇に向けて開幕ウインを達成した。

 一方、セカンドドライバーとしてフォード・フィエスタWRCを駆るエルフィン・エバンスも安定した走りを披露している。SS1でパンクに見舞われたことにより、2本のナイトステージを舞台に争われたデイ1こそ、エバンスは首位のオジェから約4分12秒遅れの総合12番手に出遅れるものの、デイ2ではSS5、SS7でベストタイムをマークするなど好タイムを連発し、総合7番手にジャンプアップしている。さらにスノー&アイスの過酷なコンディションで争われたデイ3でもエバンスは6番手に浮上。モナコ近郊のターマックを舞台にしたデイ4ではポジションアップを果たせなかったものの、エバンスはMスポーツ・フォードWRTのマニュファクチャラーズ選手権の2連覇をサポートすべく6位入賞を果たした。

 そのほか、サードドライバーとして3台目のフォード・フィエスタWRCを託されたブライアン・ブフィエも事前のテスト不足が否めず、ほとんど“ぶっつけ本番”の状態だったが、安定した走りを披露している。ナイトステージのデイ1を7番手でフィニッシュするとデイ2では6番手に浮上。雪と氷に覆われたデイ3では慎重な走りで8番手に後退したものの、デイ4でもポジションをキープ。数多くのドライバーが脱落するサバイバルラリーとなるなか、ブフィエも8位入賞を果たし、フォード・フィエスタWRCのパフォーマンスを証明した。

 このようにオジェが王者としての実力を発揮するほか、若手のエバンスも噂に違わぬ安定感を披露。マシンのパフォーマンス、さらにチームのオペレーション能力および技術力も高いほか、サードドライバーもイベントごとにスペシャリストを起用するだけに、2018年もエンドレスがバックアップするMスポーツ・フォードWRTのタイトル獲得に注目したい。

ギャラリー
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