レースレポート
スーパー耐久シリーズ 2021 第6戦 岡山国際サーキット 3号車
[予選/11月13日(土)]3号車 7位
Aドライバー/内田優大…… 3位 PM 2:15〜 2:45 ドライ
Bドライバー/山内英輝…… 9位 PM 2:55〜 3:20 ドライ
Cドライバー/菅波冬悟…… 5位 PM 3:30〜 3:50 ドライ

3月、ツインリンクもてぎで幕を開けた2021シーズンのスーパー耐久。大雨や台風などによる予選中止、赤旗による決勝レースの短縮など荒れたシーズンだった。また、昨シーズン中のようなカレンダー変更やレース開催取り止めはなかったものの、入場制限やイベント中止、ピットウォークの取り止めなど、コロナ禍の影響を感じるレースが続いていた。それでも岡山国際サーキットで開催された最終戦では、ピットウォークが復活。そしてコース上でも見どころ満載の熱いレースが予感された。

その見どころの一つが、当チームが走るST−Zクラスのチャンピオン争いである。前戦の鈴鹿ラウンドが終わった時点でチャンピオン争いに残っているのは3チーム。ランキングトップにつけている当チームは4位以上でチェッカーを受ければ、2番手につけるアストンがポール・トゥ・ウインでもチャンピオンが決まる。アストンがポールを取れないと、当チームは5番手チェッカーでチャンピオン決定。3番手につけている5ZIGENのメルセデスは、ポール・トゥ・ウインで当チームがノーポイント、アストンが3番手以下であればチャンピオンになれる。
当チームがかなり有利な位置にいるように思われているが、実際にはそんなに甘い状況ではない。最終戦はどのチームも有終の美を飾るべく、ドライバー・メカニック一体で勝利を目指して臨んでいる。さらにST−Zクラスは、今季からスープラが参戦。まだ勝利こそないが速さを秘めている。

最終戦の予選ではトップ3をスープラが占めた。この時点で5ZIGENのメルセデスはチャンピオン争いから外れる。一方、アストンもポールが取れなかったので、当チームのチャンピオンになるための条件は5番手以上でのチェッカーとなった。

そして当チームの予選結果は7番手。ドライバー、メカニックみんながこの予選結果に満足しているわけではない。これまでなら、もっと速く走ろうと決勝に向けセットアップを変更、ときには走り方も変えて優勝を目指した。しかしこの最終戦は少し状況が違う。チャンピオン獲得を最優先にした作戦だった。単純なクルマの速さよりも、タイヤやブレーキへの負担、ドライバーのコントロールしやすさを重視したセッティングへ変更。そしてチャンピオン獲得、3連覇というプレッシャーもはねのけなければならない。チーム・ドライバーは臆することなく、平常心を保ちながら決勝レースへ臨んだ。
[決勝/11月14日(日)] 3号車 4位
午前中にST-4/5クラスが走るGr.2の決勝が行われ、当チームが走るST-Zクラスを含むGr.1の決勝レースは午後からのスタート。3時間というスプリント要素の強いレースだけに、わずかなミスでも挽回しにくいレースが予想された。

当チームは、この最終戦もこれまでと同じように、山内がスタートを担当、内田、菅波とつなげていく作戦で挑んだ。午後1時30分過ぎ、S/Cが動き出しローリングが始まる。1時33分過ぎ、スタートが切られる。レース距離が短く、パッシングしにくいサーキットということもあり、オープニングラップに勝負を仕掛けてくるマシンが多い。まずまずのスタートを切った山内。しかし、数秒後にピットガレージ内に「アッ……」というどよめきが起きた。3号車AMGがグラベルへ押し出される映像がモニターに映し出されていたのだ。

幸運にも走行に大きく影響するようなダメージはなく、9番手へポジションを落としコースへ復帰した。危ないシーンであったが、山内の冷静な対処により最小限のロスで済んだ。その10分後に1回目のFCY。前方を走るマシンの背後に付けてパスするチャンスをうかがう。30ラップ過ぎ、チャンピオン争いを繰り広げているアストンがピットストップ。暫定ながら3番手に上がった山内は、37ラップを走り切ったところでピットストップ。タイヤ交換、給油など一連の作業をミスなく行い、スイッチした内田をコースに送り出す。

6番手でレースに戻った内田は、46ラップ目には5番手にポジションアップ。53ラップ目に2回目のFCY。ところがこの直後に3号車AMGが、ST-Xのマシンと接触。審議の対象となり、最終的に3号車が押し出したと判定され、ドライブスルーペナルティが課せられてしまう。内田から菅波にスイッチするタイミングでペナルティが出されたため、予定していたピットストップをドライブスルーに変更。ペナルティを消化させてから菅波にスイッチする策を取った。

慌ただしいピットストップとなったがドライバー、メカニック共に冷静に動き、最小限のロスで菅波をコースに送り出す。ただ、暫定的とはいえ2番手まで上がっていたポジションは8番手にまで後退。ライバルのアストンは2番手にまで上がり、トップを走るスープラを追いかけている。アストンが2番手でのチェッカーなら、当チームは9位でのチェッカーでチャンピオン決定になる。しかしアストンがトップに躍り出ると想定して、ドライバーもメカニックも動く。目指すは5番手でのチェッカーだ。

各チームのピットストップが終わったところで3号車は6番手に上がる。そして菅波は非凡な走りで5番手に浮上。チャンピオン獲得の域にポジションを戻した。ただ、菅波はこれで守りに入るドライバーではなかった。チーム全員の心の中にある「お立ち台に上がって、最終戦を締めくくりたい」という思いを現実のものにしようと、熱い走りを見せた。

最終的にお立ち台には届かなかったものの、4番手でチェッカー。ライバルのアストンも最終ラップまでスープラに襲いかかったが、2番手に終わった。レース後の車検などにも問題はなく、この順位が正式結果となった。これにより当チームはST-Zクラス3連覇を決めることに成功した。

もてぎの開幕戦で惨敗……。いきなり、赤信号が灯る中での2021シーズンだったが、ドライバー/メカニック全員が仕事をこなし、最後はシリーズチャンピオン・3連覇を達成することができた。

多くのレース&エンドレスファンの熱い声援によって、クラス3連覇を達成することができました。2022シーズンの体制は未定でございますが、また日本全国のサーキットで再会できることを祈っております。3号車を応援いただきありがとうございました。

レースフォト/Race Photos