SUPER耐久 2018 レースレポート
第4戦 3号車 オートポリス
[予選/7月14日(土)] 3号車 2位
Aドライバー/YUKE TANIGUCHI…… 3位 PM 1:45〜 10分間 ドライ
Bドライバー/山内英輝…………… 3位 PM 2:45〜 10分間 ドライ
Cドライバー/銘苅 翼…………… 3位 PM 3:45〜 20分間 ドライ
予選レポート
 なにかが噛み合わない。エンドレスとして30年近くレースを続けてきたが、ここまで結果を残せないシーズンはなかったように思う。

 たしかにスーパー耐久というレースは、表彰台のてっぺんを狙えるだけの戦闘力を備えたマシンであってもツキがないと勝てない。それどころか表彰台の一角さえ遠のいてしまう。まさに今の当チームはそんな状況の中で、もがき苦しんでいる。今シーズンに入ってマシンの戦闘力はメカニックの頑張りもあり、確実にアップしている。ドライバーもYUKE TANIGUCHI、山内英輝に加え、銘苅 翼も非凡な走りを見せている。スタッフ全員が「今度こそ……」という気持ちでオートポリスに乗り込んだ。

 それなりに標高のある阿蘇山の中腹にあるサーキットとあって、下界に比べればいいのかもしれないのだが、それでもピット内でも30℃を越え、太陽が直接当たるところでは40℃に達しようかという、まさに夏のレースとなったオートポリス。

 予選、速さを見せたのは富士24時間を休戦した24号車。AドライバーのYUKE TANIGUCHIは「もう少ししっかりとタイヤを温めていたら……。コンマ5秒くらいは詰められた。悔しい」とトップの24号車から0.669秒遅れの3番手。このタイム差をひっくり返すのは、かなり厳しいがBドライバーの山内も必死のアタックを見せる。山内は圧倒的な速さを見せるアウディ軍団の中に割って入る形で山内も3番手につける。このセクションでは24号車の前に出た形だがA+Bの合算タイムでは、24号車に0.181秒ほど足りず2番手。

 ただ、逆転するには十分なポジションにはつけることに成功できたので、Cドライバーの銘苅は明日の決勝に向けたチェックを念入りに行なった。
[決勝/7月15日(日)] 3号車 5位
AM 11:39 スタート 5時間レース(PM 4:42チェッカー) ドライコンディション

決勝レポート
 5時間という長丁場の決勝レース。この日も30℃超え……。暑さとの戦いでもあった。 今回は3回以上のピットストップ、AドライバーのYUKE TANIGUCHIは160分以上、Bドライバーの山内は120分以内の走行が決められている。当然、鍵を握るのは各チームともCドライバーとなる。当チームは銘苅をスタートドライバーにおき、チャンスを広げる作戦をとった。

 午前11時39分過ぎ、コースからセーフティカーが抜け、スタートが切られる。

 まずまずのスタートを切った銘苅だが24号車も簡単には前に出させてくれない。それどころかスタートから1、2コーナーにかけてのトップ争いに決着がつくと、24号車は圧倒的な速さで逃げていく。に対し、当チームのGT-Rはもう一つ伸びがなく、じわじわと引き離されてしまう。 4ラップ過ぎ、アウディ勢の一角に2番手、13ラップ過ぎには3番手の座を奪われてしまう。ここから銘苅は激しい3番手争いを繰り広げることになる。25ラップ過ぎ、厳しい戦いが続いているためか、タイヤの消耗が一気に進み、3番手のポジションを守るのも厳しくなっていく。30ラップ過ぎにはトップよりラップタイムが3秒以上も落ちてしまう。スタートからまだ1時間が過ぎたばかりだ。ここでピットに入ってしまうと完全に4回のピットストップをしないといけないことになる。しかし、追い上げるにはピットストップの回数を抑えて我慢の走りでは難しい。ピットストップの回数を増やしてでも追い上げるしかない。作戦を変更。

 35ラップ過ぎ、ライバル勢よりも早めとなってしまうがピットに入り、山内にスイッチする。これで6番手までポジションを落とすが、ライバルチームよりも早くピット作業を終えたため、全車のピットストップが終わった時点では2番手に浮上、トップとのタイム差も20秒前後にまで迫っていた。我慢の走りから攻める走りに切り替えているだけに山内も元気にある走りで追い上げる。66ラップ過ぎ、山内からTANIGUCHIにスイッチ。TANIGUCHIもコースに戻って数ラップはタイムが上がらなかったが、路面状況や全体の流れが見えてくると、ライバル勢とほとんど変わらないタイムでラップを重ねていく。5番手から4番手、3番手とポジションを上げ、87ラップ過ぎ、2回目のピットストップを最後まで遅らせていたアウディがピットに入ると当チームは2番手。この時点でトップの24号車との差は約30秒。若干、引き離されたがチェッカーまで2時間弱あり、まだまだ逆転可能な範囲。

 99ラップ過ぎ、再び、銘苅がステアリングを握る。5番手でレースに戻る。雲に日差しが遮られるなど、スタート直後に比べると路面温度は落ち出している。ただ、ラインのアウト側には多量のタイヤカスが飛び散っている。銘苅はグイグイと攻める。見えないライバルを追いかけての走りだが、前を走る4台がピットに入ると、2番手にポジションを戻す。この時点でトップの24号車との差は約20秒。当チームはもう1回、ピットに入らないといけない。厳しい状況ではあるが、チャンスがないわけではない。

 127ラップ過ぎ、銘苅から山内にスイッチ。この最後のピットストップの時にアクシデントが起きた。左フロントのホイールが外れない。ただ、ホイールが外れないというトラブルは、十分に起きることだし、対処策もSUGOラウンドの時に学んでいる。まだ、対策法を細かく明かすことはできないが、ドタバタすることなく、最小限のロスで山内に乗り替わったマシンをコースに送り出すことに成功した。

 ただ、ここで違うミスをおかしてしまった。

 現在、スーパー耐久やSUPER GTなどのレースでは、マシンの順位やラップタイムなどを管理する認識機(トランスポンダー)が搭載されている。ドライバーが変わるときは、チームのメカニックがトランスポンダーを変更しないといけないことになっている。この切り替えをしないで送り出してしまったのだ。これに対するペナルティが課せられてしまった。レース終了後、30秒の加算。つまり、30秒以上前でチェッカーを受けないと順位は下がってしまう。

 ライバルチームはミスをしていないのだから言い訳になってしまうが、オートポリスはピットがコースに対してアウト側にあり、給油なども富士や鈴鹿とは逆になってしまう。ホイールが外れず、対処策で対応したために、メカニックの動きも通常とは違っていた。悔しい。

 この時点で優勝はほぼ消えた。でも、2番手、3番手に生き残るチャンスはわずかだが残っている。ステアリングを握る山内は必死にアクセルを踏み続ける。

 結局、当チームのGT—Rは2番手でチェッカーを受けるが、3番手でチェッカーを受けた99号車とは17秒、4番手のアウディとは20秒、5番手のアウディとは21秒ほどのリードしか取れなかったため、最終的な結果は5番手となってしまった。

 これでランキングトップのGT—Rとのポイント差は61.5ポイント(残り2戦を当チームがポール トゥ ウィンで得られるポイント数:54ポイント)にまで広がり、チャンピオンの夢は完全に絶たれてしまった。とはいえ、このままでシーズンを終えたくはない。

 エンドレスらしい走りで表彰台、それも最も高い位置で……。次戦も長丁場のもてぎ。地元ともいうべきサーキットだけに当チームを応援してくれるファンのためにも、元気のある走りを見せたい。
ギャラリー
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