SUPER耐久 2018 レースレポート
第3戦 3号車 富士スピードウェイ
[予選/6月1日(金)] 3号車 1位
Aドライバー/YUKE TANIGUCHI…… 2位 PM 12:00〜 20分間 ドライ
Bドライバー/山内英輝…………… 1位 PM 12:50〜 20分間 ドライ
Cドライバー/銘苅 翼…………… 6位 PM 13:40〜 30分間 ドライ
Dドライバー/峰尾恭輔…………… 5位 PM 14:20〜 30分間 ドライ
Eドライバー/砂子塾長…………… 3位 PM 15:05〜 30分間 ドライ
Fドライバー/山田真之亮………… 1位 PM 15:05〜 30分間 ドライ
予選レポート
 今シーズンのスーパー耐久は言うまでもなく、第3戦に組まれた富士スピードウェイでの闘いが大きなポイントになってくる。当チームの内容をここまでを振り返ると、開幕戦では 他チームに突っ込まれてしまい、クラッシュ/リタイアでノーポイント。SUGOではピットストップの際、ホイールナットが外れず、まさかの4番手…。気がつけば、ランキングトップのチームとの差は26ポイント…。これまでのシーズンだと、残り4戦を全勝しても ギリギリ逆転できるかどうかと言うぐらいにまで追い込まれてしまった。

 しかし、今シーズンの富士ラウンドは24時間レースで、ポイントは以前の十勝24時間の時とは違い2倍以上。優勝すれば45ポイント(+完走1ポイント)がゲットできる。机上の計算にしか過ぎないが、優勝すれば一気に上位に上がれる。このチャンスを絶対にモノにしたい。ドライバーはもちろんのこと、メカニックはじめとするチームスタッフ全員が熱い気持ちを持って挑んだ。

 今回は木曜日に日中と夜間のそれぞれに公開練習が設けられた。 GT-R勢は24号車が欠場したため、99号車と当チームの2台。マシンの状態は悪くないが、予想以上にアウディ、ポルシェが速い。この差はチーム力でカバーしていくしかない。また、この24時間レースでは、特別ルールがいくつか設けられた。 ドライバーは6人まで登録可能。金曜日の予選&フリー走行で基準タイムをクリアしないといけない。また、A〜Dドライバーは夜間(ナイトセッション)走行が可能だがE&Fドライバーは日中のみの走行。ジェントルマン/プラチナ/エキスパートドライバーの 走行時間は、通常と変わらない。ジェントルマン(YUKE TANIGUCHI)ドライバーは20%以上(4時間48分以上)プラチナ(山内英輝/峰尾恭輔)ドライバーは2人の合計で40%以内(9時間36分)。エキスパートドライバーは制限なし。 ピットストップの回数制限は設けられていないがスタートから20時間までの間に8分以上のピットストップ(メンテナンスタイム)を2回しないといけない。

 当チームは通常のYUKE TANIGUCHI/山内英輝/銘苅 翼に加え、監督兼プラチナドライバーの峰尾恭輔、92シーズンにデビュー、96シーズンにはGT-Rでチャンピオンにも輝いている 砂子塾長こと砂子智彦、さらには13シーズンのFJ日本一決定戦で優勝、16シーズン以降はSUPER GTでアウディのステアリングを握っている山田真之亮を加えた6人で挑む。

 予選は金曜日の昼過ぎから始まったが、いきなり波乱の展開となった。今回は決勝も含めて、タイヤをランオフエリアに落とすような走りに対しては、そのラップのタイムは抹消、もしくはペナルティ。黄旗無視などに対しても厳しく裁定すると発表されていた。 このランオフエリアを走行するマシンが数台いて、AドライバーのYUKE TANIGUCHIが2番手、Bドライバーの山内はトップタイムとなり、当チームはBMWで挑んだ15シーズンの第2戦SUGOラウンド以来となるポールポジションを獲得した。GT-Rとしては初だ。まわりにも助けられた形でのポールポジションだが耐久レース、特に24時間レースでは、このツキが重要でツキがないと絶対に勝てない。 いずれにしても、富士スピードウェイが50年振りに復活させた24時間レースのポールポジションを当チームが獲得したことには間違いない。
[決勝/6月2日(土)~3日(日)] 3号車 5位
スタート 6月2日 PM 15:00.10  チェッカー 6月3日 PM 15:00.37
24時間レース  ドライコンディション
決勝レポート
当チームのエースドライバー山内は、十勝24時間の経験はないが、ニュルブルクリンク24時間の経験はあり。YUKE TANIGUCHI、砂子塾長&峰尾も十勝24時間を走り、24時間ならではの「うれしさ」や「悔しさ」を味わっている。今回の富士ラウンドでもこれらの経験が活かせるはずだ。入梅時期の開催だけに、ウェットレースとなる可能性もあったが、この週末は完全にドライコンディションのレースとなった。

24時間レースを制覇するには、いくつかの大きなポイントがあった。 まずはGT-Rの燃費から1スティントで走れるラップ数は45ラップほどで時間にすると1時間10分ほど。19回のピットストップを要することになる。タイヤはこれまでのデータから2スティント走るのは厳しく、ピットストップごとに交換。20セットを使うことになる。 ちなみに24時間で使えるタイヤのセット数はドライ用が22セット、ウェット用が10セット。 つまり、余裕があるのは2セットまでで、これも使い切ってしまった後に、破片を踏んだりしてバーストさせてしまうと、中古を使わないといけないことになる。 GT-Rは重量的にも厳しいため、ブレーキ交換も必要となってくる。ST-Xクラス以外のマシンでは、ブレーキラインをワンタッチで交換できる対策ができるため、パッドだけでなく、ローター&キャリパーも交換してしまう。これだと交換にかかる時間も3分ほどでできる。

しかし、ST-Xクラスのマシンは、ラインの変更などは認められていないため、一般車と同じような方法で交換しないといけない。キャリパーごと交換すれば確実だが、エア抜きまでやらないといけない。時間がかかる。キャリパー交換はやらず、パッド交換でいく方向で準備した。

基本的に1時間10分(45ラップ)走行の積み重ね、義務付けられている8分間のピットストップは、12時間以降にブレーキ交換の時に行い、もう1回はトラブルが出た時のために20時間寸前のピットストップまで残しておく作戦をとった。FCYやS/Cが出た時でもタイムロスなくピットに戻れない限り、45ラップスティントで行くことにした。もちろん、S/Cなどで燃費が良くなっているときはそれに合わせてラップ数を稼ぐことになる。

土曜日、午後3時前にローリングが始まる。スタートドライバーの山内は後方のマシンの動きを見ながらマシンをコントロール。絶妙のタイミングで加速、3時を10秒過ぎたところでコントロールラインを超える。オープニングラップで2番手のGT-Rに2秒の差をつけて戻ってくる。マシンへの負担を最小限に抑える1分42〜43秒台でのラップだが15ラップすぎには、その差を3秒強にまで広げるが、16ラップ目にライバルの1台、アウディがストップ。S/Cが入る。これで山内と2番手につけるGT-Rとの3秒強の差が消えるかに思われたが、2台の間に遅いマシンが入り込んでいるため、再スタート時、山内は最終コーナーから全開加速。一方、2番手のGT-Rはコントロールラインまで遅いマシンを抜くことができず、じわじわと離れてしまう。その差は8秒弱にまで広げることに成功。 この場合は当チームに有利な状況だったが、当然、逆の場合もあるし、時にはラップ遅れに追い込まれてしまうこともある。最悪なのはS/C中はピットクローズドでピットストップできない時と給油のタイミングが重なった時だ。ペナルティ覚悟でピットに入るしかない。

ピットストップ1回目、2回目……。順調にこなしてトップを走る。 暗雲が漂い出したのはスタートから約5時間30分が経過、当チームは4回目のピットストップ。山内から銘苅にスイッチして2番手でコースに戻った直後だった。マシンがコース上にストップ。FCYが出される。このタイミングで最終コーナーから立ち上がってきた99号車がピットストップ。その数秒後にFCYからS/Cに変わる。一気にコース上にいるマシンのラップタイムは3分台にまでダウン。普通なら99号車は当チームの後方2番手でコースに戻るはずだが、当チームはS/Cに抑えられているためペースが上げられず、99号車はトップでコースに戻る。単純計算では25秒近くあったリードが逆に25秒の遅れになったわけだから、このFCY+S/Cのタイミングで50秒以上ロスしたことになる。 約8時間30分、日付も変わろうかという午後11時30分過ぎ、トップの99号車がブレーキ交換、8分間のピットストップを使ったため3番手に落ちる。トップは再び、当チームのGT-R。2番手はアウディが続く。 11時間が経過しようかという時に、ST-4クラスで走る当チームのハチロクがST-TCRのマシンにぶつけられスピン、そこに違うST-TCRが突っ込む。命に関わるほどの怪我に至らなかったのは幸いだが、足首他を打撲……。医務室に運ばれることになってしまった。マシンも全損状態で僚友はここで無念のリタイアとなってしまった。

確実にラップを重ねる当チームはトップ。まさかの事態が起きたのはスタートから14時間半が過ぎようかという10回目のピットストップの時だった。このタイミングでパッド交換、8分間のピットストップを行なった。左フロントのパッドが外れない。予定していたより時間がかかってしまい、担当メカニックが焦ってしまった。なんとかコースに送り出すがブレーキラインがトラブってしまい、再びピットストップ。このピットストップでもう1回残っている8分間のピットストップを使うが、修復に時間がかかってしまい、コースに戻った時には、この時点でトップを走っていたアウディから13ラップ遅れの6番手にまで後退していた。 この後は大きなトラブルもなく、砂子塾長、山田がラップを重ね、最後はYUKE TANIGUCHIが2スティントを走行、悔しい気持ちを抑えてチェッカーを受けた。順位は残り約1時間のところでポルシェがコース上でストップ、復帰できずリタイアしたため、当チームは5番手となった。

しかし、シリーズポイントでは99号車のGT-Rがボーナスポイントがつく開幕戦の鈴鹿、今回の富士で勝ち、86ポイントまで伸ばした。一方、当チームはポールポジションなどで20ポイントを加えたが合計で35ポイント、99号車との差は51ポイントにまで広がってしまった。 ちなみに残り3戦をポールトゥウインで獲得できるポイントは76ポイントなので、完全にチャンピオン争いから脱落したわけではない。もちろん、厳しい状況であるのはいうまでもないが1%でもチャンスがあるなら……。 奇跡を起こすべく、7月のオートポリスへ乗り込む。
ギャラリー
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